賃貸物件の不動産広告には、不動産の公正競争規約に基づいた表記ルールがあります。
ここではお問い合わせを多数いただくポイントを、Q&A形式で解説いたします。
※SUUMOご掲載にあたっては当社の規定に則してくださいますよう、規定書の確認をお願いいたします。
(広告表記相談事例・公取協通信などがご確認いただけます)
このコーナーでは「不動産の表示に関する公正競争規約に基づいた表記ルール」の説明をしています。
SUUMOでは、媒体の編集方針により、掲載可能な物件の条件があったり、その場合の表記方法を決めておりますので、SUUMOご掲載時にお願いしている表記方法とは異なるケースがございます。
詳細につきましては、お渡ししていますSUUMO参画基準・マニュアル等の冊子をご確認いただくか、弊社の貴社担当営業にお問い合わせください。
Q1
物件募集の広告を出したところ、見学者が来店しました。
「契約をするつもりなので週末まで待っていてほしい」と言われ、部屋を仮押さえしました。
まだ正式に契約書を交わしていない場合、物件募集の広告を取り下げる必要はないですか?
上記のような物件を掲載することは、「おとり広告」に該当します。
たとえ契約書を交わしていなくても、「この物件を借りたいです」とカスタマーが意思表示し、不動産会社が「(仮でも)取っておきます」とした時点で、上記のような物件を掲載することは、「おとり広告」に該当するというのが公取協の見解です。
不動産の表示に関する公正競争規約では…
以下の3つに該当する表示をおとり広告として禁止しています。(表示規約第21条より)
- 1. 物件が存在しないため、実際には取引することができない物件に関する表示
- 例)架空の物件
広告表示と取引しようとする物件の内容、取引条件が広告表示と同一とは認められないもの - 2. 物件は存在するが、実際には取引の対象となり得ない物件に関する表示
- 例)広告日の数ヶ月前に契約済となっている物件
貸主からの借主募集依頼がないのに広告しているもの - 3. 物件は存在するが、実際には取引する意思がない物件に関する表示
- 例)広告した物件を見せることを拒否する
案内はするが、広告には表示しなかった物件の欠点を強調して他の物件を勧める長期間特定の物件のみを広告している場合など、客観的にみて広告物件を賃貸する意思がないと認められる場合
Q2
築1年半経っているがまだ誰も住んでおらず、とても綺麗なので「新築」と表記しても良いですか?
誰も住んでおらず、とても綺麗であっても
築1年以上経過している物件は「新築」とは表記できません。
不動産の表示に関する公正競争規約では…
「新築」について次のように定められています。(表示規約第18条(1))
「新築とは…建築工事完了後1年未満であって、居住の用に供されたことがないものをいう」
したがって、「まだ1度も人が住んだことがない物件であっても」「建物の外観、内観ともに新築とおなじくらい綺麗であっても」、「築1年以上経過している」場合は、「新築」と表記することはできません。
以下の場合は、「新築」表記はできません。
状況 | 理由 |
---|---|
築1年半だが、まだ誰も住んでおらず新築のように綺麗 | 誰も住んでいないが築1年以上経過 |
築11ヶ月で、前入居者が半年だけ住んだが新築のように綺麗 | 一度でも人が住んでいたため |
Q3
通常敷金1ヶ月、ペット飼育の場合は敷金2ヶ月という契約条件の場合、「敷金1ヶ月、ペット相談可」とのみ表示しても良いですか?
「敷金1ヶ月、ペット相談可」と表記し、
実際はペット飼育の場合は敷金2ヶ月にも関わらず、
それを表記しないことは不当表示に該当します。
ペットを飼育するか否か、ということに限らず、楽器を演奏するか否か、喫煙するか否か、等の契約者の条件によって、敷金が通常契約と異なる場合、「ペット相談可」「楽器演奏可」「喫煙可」等のの表示だけでは足りません。
必ず敷金の積み増し分を表示する必要があります。
Q4
入居にあたり、敷金・礼金とは別に「鍵交換代」や「室内クリーニング代」が発生しますが、その場合の表記ルールを教えてください。
契約~初回契約終了までの間にカスタマーが支払う必要のある費用に関して、
その費目及びその額を表示する必要があります。
具体的には、「鍵交換代」「室内クリーニング代」「抗菌処理費用」「24時間サポートサービス費用」等があります。
なお、これらの支払いが任意である場合には記載の必要はありません。支払うことが必の場合のみ記載が必要です。
Q5
当該物件が「マンション」であるか「アパート」であるか迷った場合は、どう判断すれば良いですか?
「マンション」と「アパート」の違いについては、建物の構造で判断します。
不動産の表示に関する公正競争規約では…
「マンション」と「アパート」について、以下のように定められています。
「マンション」(表示規約施行規則第3条(8)より)
鉄筋コンクリート造りその他堅固な建物であって、一棟の建物が、共用部分を除き、構造上、数個の部分に区画され、各部分がそれぞれ独立して居住の用に供されるものをいう。
「アパート」(表示規約施行規則第3条(15)(16)より)
マンション以外の建物であり、住戸ごとに居住の用に供するために賃貸するものをいう。
上記の規約に沿って、判断してください。
Q6
物件の募集に際して1ヶ月間のキャンペーンを設定し、この期間中に契約していただいた方には、当初3ヶ月間の賃料を通常の賃料より安くしたいと考えています。広告の表記はどうすれば良いですか?
契約期間中に賃料が変動する場合、
契約期間中にカスタマーが支払うことになる賃料で、
最も高い額を表記してください。
表記例
賃料 | 5万円 |
---|---|
備考欄等 | 〇日までにご契約の方、当初3ヶ月間賃料3万円 |
例)賃料5万円。
キャンペーンにより〇日までに契約を行うと当初3ヶ月は賃料3万円とする物件
Q7
リフォームしたことを表記する場合のルールを教えてください。
リフォームした旨を広告に表記する場合、
必ずリフォーム内容とその時期を表示する必要があります。
不動産の表示に関する公正競争規約施行規則では…
リフォーム等をした旨を広告に表記する場合、以下のように定められています。(表示規約施行規則第9条(21))
建物を増築、改築、改装又は改修(以下「リフォーム等」という。)したことを表示する場合は、そのリフォーム等の内容及び時期を明示すること。
表記例 | H22.10月リフォーム済(床・キッチン・トイレ) |
---|
なお、時期について、月がどうしても分からない時は一番古い月である1月と表示してください。
また「内装リフォーム済」「フルリフォーム」という表現は具体的な箇所が記載されていません。お部屋全体をリフォームした場合でも、必ず具体的な箇所を併記するようにしてください。
複数個所ある場合で、各々の実施年月を個別に表示できない場合は、不当表示にならないよう、広告に表示したリフォームの一番古い実施年月を実施年月として表示してください。
リフォームした時期を完成年月として誤って表示しないようご注意ください。
Q8
建物が古すぎて、築年月が不明な物件を掲載する場合、おおよその築年数はどう判断すれば良いですか?
古い建物で登記簿等では建築年月が不明な場合、
おおよその築年月は以下の方法で調べることができます。
- 市町村役場の資産税課等で固定資産課税台帳を閲覧して、そこに記載されている建築年月を確認する
- それでも分からない場合は、オーナーや周辺住民からの聞き取り調査で少なくともいつ頃から建っていたかを確認する
なお、リフォームやリノベーションを行った記憶があるからといって、“築年月”が変わることはありません。リフォームした日付を“築年月”と表示することはできません。
不動産の表示に関する公正競争規約では…
事業者は、次に掲げる広告表示をしてはならない、と定められています。(表示規約第23条(18))
建物の建築経過年数又は建築年月について、実際のものよりも経過年数が短い又は建築年月が新しいと誤認されるおそれのある表示
また、月がどうしても分からない時は一番古い月である1月と表示してください。
例:昭和40年の建築は確実にわかっているが何月かが不明である
→昭和40年1月と表示してください
Q9
物件広告内に、「デザイナーズ、礼・敷0、ペット可物件等…なんでもご相談ください」等、他物件や店舗のアピールを表記しても良いですか?
他物件について少しでも言及することは、必要な表示が不足している広告として、不動産の公正競争規約違反になる恐れがあります。
当該物件の広告で他物件に言及するのではなく、当該物件についての概要等を表記してください。
Q10
定期借家の物件広告で必ず表記しなければいけないことはありますか?
定期建物賃貸借(定期借家)契約の場合は、
その旨とその期間の表示が必要です。
定期建物賃貸借契約が普通賃貸借契約と最も異なる部分は、契約の更新ができないところにあります。
「契約の更新ができない=契約終了後は、借主は退去しなければならない」ということです。
そのため、広告の段階で定期借家賃貸借である場合はきちんと表記する必要があると定められています。
なお、定期借家契約の更新はできませんが、契約期間終了後に、貸主と借主の合意が得られれば再契約することも可能です。
定期借家契約 | 普通借家契約 | |
---|---|---|
契約更新 | 契約期間が満了すると、 契約は更新することなく確定的に終了 |
更新可 家主が契約の更新を拒絶したり、 解約の申し入れをする場合、正当事由が必要 |
契約期間 | 下限~上限なし | 1年以上 |
Q11
賃料を値下げした場合、『賃料を●●円→▲▲円に値下げしました!』と広告しても良いですか?
賃貸物件の広告では二重価格表示をすることはできません。
なお、「賃料値下げしました」「新賃料●●万円」等の表記は可能です。
不動産の表示に関する公正競争規約施行規則では…
「過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示」について、次のように定めています。(表示規約施行規則第12条)
過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示は、次に掲げる要件のすべてに 適合し、かつ、実際に、当該期間、当該価格で販売していたことを資料により客観的に明らかにすることができる場合を除き、規約第20条において禁止する不当な二重価格表示に該当するものとする。
「過去の販売価格」を比較対照価格とするものであることから、賃貸物件の広告では二重価格表示をすることはできません。
例)「10万円から9万8千円に賃料を値下げした」等、新旧の賃料金額を記載することはできません。
Q12
家具家電付きの物件広告について、家具家電「あり」と「なし」の場合で異なる賃料を設定する場合、どのように表記すれば良いですか?
家具家電の有無で賃料が異なる場合で、借主がいずれかを選択できる場合は、
「どちらか一方の条件で掲載する」「両方の条件を掲載する」どちらも可能です。
「両方の条件を掲載する」場合は、一方の条件の項目を表示し、片方の条件は備考欄等に表記してください。
上記の例では、
①家具家電「あり」として広告する場合は、家具家電「あり」の賃料を表記する
②家具家電「なし」として広告する場合は、家具家電「なし」の賃料を表記する
③両方の条件を掲載する場合は、①または②の通り表記し、もう一方の条件を備考欄等に表記する
表記例
賃料 | 8万円 ※家具家電付き |
---|---|
備考欄等 | 家具家電なしの場合は、賃料7万円 |
上記の場合の他にも、
- 礼金の有無
- 普通借家契約と定期借家賃貸借契約
- 契約期間の長さ など
条件によって異なる賃料が設定されていて、借主がいずれかを選択できる場合の広告表記も同様です。
Q13
21.8㎡の部屋を22㎡と広告しても良いですか?
21.8㎡の部屋を22㎡と広告するのは不当表示に該当しますので、表記できません。
不当表示とは、実際とは異なったり、実際のものよりもよく見えるなど、消費者に誤解を与える表示です。
宅地建物取引業法では…
宅建業法で誇大広告等の禁止が定められています。(宅建業法第32条)
宅地建物取引業者は、その業務に関して広告をするときは、当該広告に係る宅地又は建物の所在、規模、形質若しくは現在若しくは将来の利用の制限、環境若しくは交通その他の利便又は代金、借賃等の対価の額若しくはその支払方法若しくは代金若しくは交換差金に関する金銭の貸借のあっせんについて、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。
不動産の表示に関する公正競争規約では…
第8章で「不当表示の禁止」として、事業者は、次に掲げる広告表示をしてはならないと定められています。(表示規約第20~23条)(第23条から代表例を抜粋)
〔面積〕
(8) 物件の面積について、実際のものよりも広いと誤認されるおそれのある表示
[建物の間取り・用途]
(9) 建物の間取りについて、実際のものよりも優良であると誤認されるおそれのある表示
(10) 建築基準法(昭和25年法律第201号)上の居室に該当しない部屋について、居室であると誤認されるおそれのある表示
(21) 増築、改築又は造作の取替えをした建物について、当該建物の全部又は取引しようとする部分が新築したものであると誤認されるおそれのある表示
・・・・・
たとえば、広告誌面やシステムなどの制約で、端数まで表示ができない時等は、次のように対応する必要があります。
例)
- 面積/実際より広く見えないよう端数は切り捨て・・・・ 21.8㎡→21㎡
- 賃料/実際より安く見えないよう端数切り上げ・・・・・ 8万2000円→9万円
- 徒歩分数/実際より近く見えないよう端数切り上げ・・・ 5.87分→6分
Q14
ロフトを部屋面積に含めて表示しても良いですか?
建物面積又は専有面積に小屋根部屋、ロフト等の面積を含めて表示してはいけません。
ロフトは、建築基準法上の床面積に算入されません。
そのため、広告表示の際も面積に含めてはいけません。
また、サービスルーム(納戸)とも異なりますので、間取り表記で「S」と表示することもできません。
ロフト | 建築基準法上、床面積に算入されない |
---|---|
納戸 | 建築基準法上、床面積に算入される |
Q15
DKやLDKの広さってどれくらいですか?決まりはありますか?
DKやLDKの広さについては、目安が設けられています。
不動産の表示に関する公正競争規約実施細則では…
DK・LDKの広さ(畳数)の目安となる指導基準では以下のように定められています。
事業者(広告会社などを含む。)が、DK又はLDKとの表示を用いるときには、実際のそれぞれの広さはまちまちであるとしても、次表に記載する居室(寝室)数に応じて最低必要な広さ(畳数)の目安(下限)を定め、これをもって指導基準とする。
最低必要な広さ(畳数)の目安(下限)
居室(寝室)数 | DK | LDK |
---|---|---|
1部屋 | 4.5畳 | 8畳 |
2部屋以上 | 6畳以上 | 10畳以上 |
なお、一畳当たりの広さは、1.62平方メートル(各室の壁心面積を畳数で除した数値)以上をいう。
また、この基準は、あくまでも建物が取引される際に、DK又はLDKの広さ、形状および機能に関する基準を定めたものではない。
Q16
広い納戸を部屋数にカウントしても良いですか?
建築確認時に居室で認められない部分(納戸)は、部屋数にはカウントできません。
広い納戸であっても、部屋数にはカウントできません。
建築確認時に「居室」として認められた部屋の数と、LDK・DK・K等を組み合わせて「間取り」として表示してください。
不動産の表示に関する公正競争規約では…
事業者は、次に掲げる広告表示をしてはならない、と定められています。(表示規約第23条(10))
建築基準法(昭和25年法律第201号)上の居室に該当しない部屋について、居室であると誤認されるおそれのある表示
「納戸」については、次のように定めています。(表示規約施行規則第9条(17))
採光及び換気のための窓その他の開口部の面積の当該室の床面積に対する割合が建築基準法第28条の規定に適合していないため、同法において居室と認められない納戸その他の部分については、その旨を「納戸」等と表示すること。
また、居室であるか納戸であるかの別を記載していない間取り図は、いずれの部屋も居室であると誤認されるおそれがあるため、不当表示に該当します。
必ず、「納戸」である旨が分かるよう表示する必要があります。
Q17
自動車や自転車による所要時間はどのように算出すれば良いですか?
日中の時間帯に実際に走行した所要時間を表示してください。
自動車及び自転車による所要時間についての具体的な算出基準は定められていません。
規約に基づき、実際に制限速度内で、早朝や深夜等の通行量の少ない時間帯ではなく、日中の時間帯に実際に走行した所要時間を表示してください。
不動産の表示に関する公正競争規約施行規則では…
自動車と自転車による所要時間について、次のように定めています。(表示規約施行規則第9条(10)(11))
(10) 自動車による所要時間は、道路距離を明示して、走行に通常要する時間を表示すること。
(11) 自転車による所要時間は、道路距離を明示して、走行に通常要する時間を表示すること。
Q18
徒歩で物件から駅まで行く際、遠回りになる横断歩道を経由しなければいけない場合、どのように所要時間を算出すれば良いですか?
遠回りになる横断歩道や歩道橋を経由しなければならない場合は、
その横断歩道等を経由した道路距離により
所要時間を算出して表示しなければなりません。
(直線距離ではありません)
下図の場合は、青線の道路距離より、「80m=1分」で所要時間を算出してください。
なお、端数が出たときは分数は「切り上げ」て広告に表示してください。
不動産の表示に関する公正競争規約では…
事業者は、次に掲げる広告表示をしてはならない、としています。(表示規約第23条(6))
物件の所在地から駅その他の施設までの距離について、実際のものよりも短いと誤認されるおそれのある表示
そのため、渡れない箇所を経由した場合の距離を表示することはできません。
Q19
最寄り駅から物件までの徒歩所要時間は駅の改札から測る必要がありますか?
(例えば、池袋・新宿・渋谷のようにJRと地下鉄が通っていて、改札・出口が複数ある場合、どれを始点の基準にして計測すべきですか)
駅の改札から計測する必要はなく、駅舎の出入り口を起点として表示可能です。
地下鉄の駅の場合は、地下鉄の出入り口を起点として表示可能です。
例のようなターミナル駅ですと地下でつながっていますし広いため、地下鉄とJRで徒歩分数に差が出るかと思いますが、そこは致し方ないとしています。
また、駅の出入り口が複数ある場合は、その出入り口の名称(「中央口」「南口」など)を明らかにして表示したほうが望ましいでしょう。
表示したい路線(JRまたは地下鉄)の起点から計測した徒歩所要時間を表示してください。
Q20
不動産の景品上限額はどのように計算したら良いですか?
不動産の取引で景品類を提供するときは、「不動産の景品規約」の適用を受けます。
不動産業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約施行規則では…
不動産の取引を条件にしたり、物件や店舗来訪を条件に景品類を提供する場合は、下記の通りとなります。(景品規約第3条第1項(1)(2)より)
提供の方法 | 提供可能な景品額 | 総額の制限 |
---|---|---|
一般懸賞景品 (抽選) |
取引価格の20倍または10万円のいずれか低い方 | 取引予定総額の2%以内 |
総付景品 (全員、先着) |
取引価格の1/10または100万円のいずれか低い方 | なし |
「取引価額」は、景品規約施行規則第5条(2)(3) で定められています。
取引価格 | |
---|---|
・貸主、代理が単独で提供する ・貸主と仲介が共同で提供する |
賃貸借契約を締結するために必要な費用の額(※) (敷金など賃貸借契約満了後に返還される金銭を除く。) |
仲介(媒介)が単独で提供する | 媒介報酬限度額 |
(※)また、一定期間契約を継続した後に賃借人に景品類を提供するとして、賃貸借契約締結前に告知して景品類を提供する場合は、この費用に、当該契約締結から一定期間に当該賃借人が支払った総額を加えることとする。
(例)家賃10万円、共益費1万円、敷金・礼金10万円、媒介報酬限度額11万円の場合
■貸主または仲介会社が全員に景品を提供する場合(総付景品)
景品の提供者 | 取引価格 | 提供可能な景品の上限額 |
---|---|---|
・貸主、代理が単独で提供する場合 ・貸主と仲介会社が共同で提供する場合 |
家賃(前家賃)+礼金+共益費 =21万円 |
取引価格21万の10%(2.1万円)か 100万円の低い方なので、2.1万円 |
仲介会社が単独で提供する場合 | 媒介報酬限度額 =11万 |
取引価格11万の10%(1.1万円)か 100万円の低い方なので、1.1万円 |
■貸主または仲介会社が抽選で景品を提供する場合(一般懸賞景品)
景品の提供者 | 取引価格 | 提供可能な景品の上限額 |
---|---|---|
・貸主、代理が単独で提供する場合 ・貸主と仲介会社が共同で提供する場合 |
家賃(前家賃)+礼金+共益費 =21万円 |
取引価格21万の20倍(420万円)か 10万円の低い方なので、10万円 |
仲介会社が単独で提供する場合 | 媒介報酬限度額 =11万 |
取引価格11万の20倍(220万円)か 10万円の低い方なので、10万円 |
Q21
当社の仲介で一定期間内に賃貸契約を締結してくれた借主に対し、現金キャッシュバックキャンペーンを行う予定です。
注意する点はありますか?
現金キャッシュバック=値引き行為は、「景品ではない」ため
「正常な商習慣の範囲」であれば景品規約での上限額の適用はありません。
しかし、仲介会社の場合、現金キャッシュバック可能な上限額は仲介手数料となります。
また、貸主の場合は、現金キャッシュバックの上限額はありません。
ただし、値引き行為でも、対象者を抽選で選ぶ場合などは、不動産の景品類の提供となるため、不動産の景品規約で定める上限金額が適用されます。
ご注意ください。
Q22
当社の仲介で家賃10万円の物件を一定期間内に賃貸契約を締結してくれた借主に対し、5万円相当の家具・家電等をプレゼントするキャンペーンを行う予定です。景品規約上、問題がありますか?
不動産の取引で景品類を提供するときは、「不動産の景品規約」の適用を受けます。
不動産業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約施行規則では…
総付景品の上限額は、下記の通りです。
提供の方法 | 提供可能な景品額 | 総額の制限 |
---|---|---|
総付景品 (全員、先着) |
取引額の1/10または100万円のいずれか低い方 | なし |
仲介会社が提供するの場合の「取引価額」は、
取引価格 | |
---|---|
仲介(媒介)が単独で提供する | 媒介報酬限度額 |
家賃10万円の場合、提供できる景品の上限額は、媒介報酬限度額(家賃+消費税=11万円)×1/10=1.1万円です。
5万円相当の家具・家電等を提供することは限度額を超えているため、景品規約に違反することになりますのでできません。
Q23
当社の仲介で一定期間内に賃貸契約を締結してくれた借主に対し、「現金キャッシュバック」か「家具・家電等プレゼント」いずれかを選択できるキャンペーンを行う予定です。提供できる金額・景品の上限を教えてください。
「現金キャッシュバック(値引き)」か「プレゼント(景品)」いずれかを
相手方に選択させる場合は、値引きと認められず、
景品類の提供として取り扱われます。
不動産の取引で景品類を提供するときは、「不動産の景品規約」の適用を受けます。
不動産業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約施行規則では…
値引きと認められないものとして、以下のように例示されています。(景品規約施行規則第1条第3項より)
第1項に規定する値引と認められないものを例示すれば次のとおりである。
(2)景品類と不動産の代金等の減額等とを相手方に選択させるなど、景品類の提供と一連の企画に基づいて代金等の減額等をすること。
「現金キャッシュバック(値引き)」か「プレゼント(景品)」いずれかを相手方に選択させる場合は、景品類の提供となります。
仲介会社が提供できる景品の上限額は媒介報酬限度額ですので、借主が「現金キャッシュバック(値引き)」を選んだ場合でも、「プレゼント(景品)」を選んだ場合でも、媒介報酬限度額までしか提供することはできません。
Q24
物件の写真について、使用ルールはありますか?
物件広告の画像は実際に取引する物件の画像を加工をせずに掲載してください。
不動産の表示に関する公正競争規約施行規則では…
使用する写真について次のように定めています。(表示規約施行規則第9条(22))
宅地又は建物の写真又は動画は、取引するものを表示すること。
ただし、取引する建物が建築工事の完了前である等その建物の写真又は動画を用いることができない事情がある場合においては、取引する建物を施工する者が過去に施工した建物であり、かつ、次に掲げるものに限り、他の建物の写真又は動画を用いることができる。この場合においては、当該写真又は動画が他の建物である旨及びアに該当する場合は、取引する建物と異なる部位を、写真の場合は写真に接する位置に、動画の場合は画像中に明示すること。
ア 建物の外観は、取引する建物と構造、階数、仕様が同一であって、規模、形状、色等が類似するもの。ただし、当該写真又は動画を大きく掲載するなど、取引する建物であると誤認されるおそれのある表示をしてはならない。
イ 建物の内部は、写される部分の規模、仕様、形状等が同一のもの。
当該物件の写真を用いることができない場合は、上記ア・イに該当する写真を用いることも可能ですが、他の物件の写真である旨を必ず明示してください。
Q25
当該物件の背後にある背の高い建物を消した画像を広告しても良いですか?
デメリットを隠すための加工は不当表示になります。
例:背後の建物を削除する、電線・電柱を消す、ごみ置き場を消す、などは不当表示に当たります。
不動産の表示に関する公正競争規約では…
事業者は、次に掲げる広告表示をしてはならない、としています。(表示規約第23条(43))
物件からの眺望若しくは景観又は物件を中心とした眺望若しくは景観を示す写真、動画、絵図又はコンピュータグラフィックスによる表示であって、事実に相違する表示又は実際のものよりも優良であると誤認されるおそれのある表示
「一部加工しています。実際とは多少異なります。」と注意書きをしたとしても、加工された画像を見た一般消費者が実際の物件と誤認するおそれがある場合は、加工された画像を広告に使用することはできません。
Q26
不動産広告における表現の注意点はありますか?
不動産の表示に関する公正競争規約では…
最上級表現や完全を意味するような表現を広告に使用する場合は、合理的な根拠となる資料があること、また、(1)(2)は根拠の併記も必要、と定められています。(表示規約第18条第2項より)
(1) 物件の形質その他の内容又は価格その他の取引条件に関する事項について、最上級を意味する用語 ※根拠の併記も必要
例) 「最高」、「最高級」、「極」、「特級」等
(2) 物件の価格又は賃料等について、著しく安いという印象を与える用語 ※根拠の併記も必要
例) 「買得」、「掘出」、「土地値」、「格安」、「投売り」、「破格」、「特安」、「激安」、「バーゲンセール」、「安値」等
(3) 物件の形質その他の内容又は役務の内容について、全く欠けるところがないこと又は全く手落ちがないことを意味する用語
例) 「完全」、「完ぺき」、「絶対」、「万全」等
(4) 物件の形質その他の内容、価格その他の取引条件又は事業者の属性に関する事項について、競争事業者の供給するもの又は競争事業者よりも優位に立つことを意味する用語
例) 「日本一」、「日本初」、「業界一」、「超」、「当社だけ」、「他に類を見ない」、「抜群」等
(5) 物件について、一定の基準により選別されたことを意味する用語
例) 「特選」、「厳選」等
(6) 物件について、著しく人気が高く、売行きがよいという印象を与える用語
例) 「完売」等
上記(1)から(6)の例以外の用語であっても、これらの用語に類するものであれば、上記規定が適用されることになります。
また、これらの用語を合理的な根拠を示す資料を有しないのに使用した場合は、本項に違反するほか、表示規約第23条(不当表示の禁止)にも違反しますので、広告でこれらの用語を使用する際は注意が必要です。