売買物件の不動産広告には、不動産の公正競争規約に基づいた表記ルールがあります。
ここではお問い合わせを多数いただくポイントを、Q&A形式で解説いたします。
(広告表記相談事例・公取協通信などがご確認いただけます)
このコーナーでは「不動産の表示に関する公正競争規約に基づいた表記ルール」の説明をしています。
SUUMOでは、媒体の編集方針により、掲載可能な物件の条件があったり、その場合の表記方法を決めておりますので、SUUMOご掲載時にお願いしている表記方法とは異なるケースがございます。
詳細につきましては、お渡ししていますSUUMO参画基準・マニュアル等の冊子をご確認いただくか、弊社の貴社担当営業にお問い合わせください。
Q1
「接道義務を満たしていないから再建築できない」と言われました。
「接道義務」とはどういうことですか?
これらの土地への建物の建築が禁止されています。
・建築基準法42条に規定する道路に2メートル以上接していない
・同法40条に基づく地方公共団体の条例により付加された敷地の形態
(いわゆる敷地延長)に対する制限に適合しない土地
建築基準法では…
次のように定めています。(建築基準法第43条)
建築物の敷地は、道路(次に掲げるものを除く。第四十四条第一項を除き、以下同じ。)に二メートル以上接しなければならない。ただし、その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したものについては、この限りでない。
このような土地については「建築不可」と、中古住宅等の場合は「再建築不可」と明示しなければなりません。
「不適合接道」「道路位置指定なし」などといった表示は認められません。
- 道路に2m以上接していないもの。
- 2m以上接しているが、法律上の道路には接していないもの。
- 敷地が道路に全く接していないもの。
- 2m接しているが、路地状部分の幅員とその長さの関係の制限が地方公共団体の条例で定められていて、これに不適合のもの。
(注)④の制限は、地方公共団体によって異なります。制限していないところもあります。
東京都の場合の制限は、次のとおりです。
路地状部分の長さ | 路地状部分の幅員 | |
---|---|---|
建物面積200㎡未満 | 建物面積200㎡以上 | |
20m以下 | 2m以上 | 3m以上 |
20m超過 | 3m以上 | 4m以上 |
公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会HPより
Q2
「接道義務を満たしていない物件の広告表記はどうすれば良いですか?
43条2項の「1号の認定」あるいは「2号の許可」が確実に取得できると言われたのですが、その場合の表記はどうすれば良いのでしょうか?
接道義務を満たさない物件は、「(再)建築不可」と表示する必要があります。
接道義務を満たさなくても、43条第2項1号認定や2号の許可を受けて建築できる
場合には、その旨を明示すれば「(再)建築不可」と表示する必要はありません。
不動産の表示に関する公正競争規約施行規則では…
特定事項の明示義務について、次のように定めています。(表示規約施行規則第7条(4))
建築基準法第42条に規定する道路に2メートル以上接していない土地については、「再建築不可」又は「建築不可」と明示すること。ただし、建築する建物が同法第43条第2項各号の規定に該当することとなる場合には、この限りでない。
43条2項の「1号の認定」あるいは「2号の許可」が確実に取得できる場合とは…
接道要件を満たしていない場合、原則として建築確認が下りないため、土地は建物の建築が不可、中古戸建は再建築不可となります。
ただし、周囲の状況から判断して特例として建築確認が下りる場合があります。
具体的には、建築基準法43条2項の「1号の認定」あるいは「2号の許可」が確実に取得できる場合です。
このような例外措置の対象になるかどうかの判断基準は各自治体によって異なるため、不明な場合は物件の所在地の自治体へ問い合わせください。
Q3
市街化調整区域の場合の表記ルールを教えてください。
市街化調整区域で住宅等の建築ができない場合は、「市街化調整区域。宅地の造成及び建物の建築はできません。」と明示する必要があります。
(新聞折込チラシ等及びパンフレット等の場合には16ポイント以上の大きさの文字を用いること)
市街化調整区域とは、都市計画区域にしていされた中の一つの区域で、農地や自然を保護するために市街化を抑制する地域のことです。
原則、建築は認められません。
不動産の表示に関する公正競争規約施行規則では…
特定事項の明示義務について、次のように定めています。(表示規約施行規則第7条(6))
都市計画法第7条に規定する市街化調整区域に所在する土地については、「市街化調整区域。宅地の造成及び建物の建築はできません。」と明示すること(新聞折込チラシ等及びパンフレット等の場合には16ポイント以上の大きさの文字を用いること。)。ただし、同法第29条に規定する開発許可を受けているもの、同法第33条の要件に適合し、第34条第1項第11号又は第12号に該当するもの、並びに、同法施行令(昭和44年政令第158号)第36条第1項第1号及び第2号の要件に適合し、第3号ロ又はハに該当するものを除く。また、これらのいずれかに該当する場合には、住宅等を建築するための条件を明示すること。
Q4
市街化調整区域にはどんな場合も家が建てられないのでしょうか?
市街化調整区域内であっても住宅の建築が可能な場合があります。
該当する物件に関しては、広告掲載の際は根拠の明示及び制限がある場合にはその旨の表示、建築主に許可要件がある場合にはその内容まで表示する必要があります。
要件
- 都市計画法29条の開発許可を受けたもの
- 都市計画法施行令36条1項3号ロに該当するもの
法第34条11号の条例で指定された区域内において、新築、改築する建築物で同号の条例に定める用途に該当しないもの。 - 上記以外で条例等の基準により確実に建築許可が下りる場合
- 県や市の基準(包括承認基準、議決基準などの名称)で、開発審議会の議を経たものとして取り扱われるもの
- 県や市の基準で開発審査会の許可基準に該当し、確実に建築できる場合
以下の2つのケースがあります
a. 誰でも建築できる場合
b. 下記、出身要件や居住年数等、人的要件がある場合
- 調整区域に居住している者もしくはその親族の自己用住宅(例:20年前から市内もしくは隣接地の調整区域に親族が居住)
- 自己所有の土地がないこと 等
ただし、建築できる建物や許可が下りる方の条件が限定される場合があります。
1. 用途が店舗や施設に限られる。
2. 分家住宅など、一身専属のものや相続人などの一般承継人のみに限られる。
3. やむをえない場合(※)のみ許可が下りる場合 ※過密、狭小、被災、立ち退きなど
※物件の所在地の地方公共団体によって条例等が異なります。
詳細は物件所在地の地方公共団体にお問い合わせください。
Q5
「現地を見たら傾斜(法面)があった」や、「後ろの斜面にがけ条例適用がある」と言われた場合の表記ルールを教えてください。
以下2つの場合には、傾斜地がある旨とその割合又は面積を表示する必要があります。
(マンションの場合は表示義務はありません。)
①傾斜地の割合がおおむね30パーセント以上を占める場合
②傾斜地を含むことにより、当該土地の有効な利用が著しく阻害される場合
土地が擁壁におおわれないがけの上又はがけの下にあるときは、
その旨を表示し、建築(再建築)時に取るべき具体策の明示が求められています。
不動産の表示に関する公正競争規約施行規則では…
特定事項の明示義務について、次のように定めています。(表示規約施行規則第7条(9)(11))
(9)傾斜地を含む土地であって、傾斜地の割合が当該土地面積のおおむね30パーセント以上を占める場合(マンション及び別荘地等を除く。)は、傾斜地を含む旨及び傾斜地の割合又は面積を表示すること。ただし、傾斜地の割合が30パーセント以上を占めるか否かにかかわらず、傾斜地を含むことにより、当該土地の有効な利用が著しく阻害される場合(マンションを除く。)は、その旨及び傾斜地の割合又は面積を明示すること。
表示例 傾斜部分〇〇㎡あり
(11)土地が擁壁によっておおわれないがけの上又はがけの下にあるときは、その旨を明示すること。この場合において、当該土地に建築(再建築)するに当たり、制限が加えられているときは、その内容を明示すること。
また、がけ条例の適用などで、建築制限がある場合は表記が必要です。
一定以上の高さの崖の上または下にある土地は、条例や行政指導により、建築規制を受ける場合があります。(擁壁工事や崖から後退して建築するなど、一定の条件がみたされないと建築確認がおりない場合があります)。
規制が及ぶ範囲(断面図)
左図は東京都の例です。
対象となるがけの高さや規制が及ぶ範囲は自治体により異なります。
また該当する条例の名称は、各自治体により異なります。
詳細は物件所在の自治体にてご確認ください。
Q6
「擁壁はあるががけ条例の適用により建築制限がある」と言われました。
擁壁によっても違いがあるのでしょうか?
擁壁の例
上記のような擁壁の場合は、劣化や破損がない限り、がけ上やがけ下であっても建築が認められる可能性が高いです。
上記のような場合は素材や擁壁の劣化により、安全な擁壁と判断されず、このままでは建築が認められない可能性があります。
上記は一例です。
擁壁の素材や現在の現状などによっても判断が異なります。
擁壁の安全性については、必ず各地方公共団体の指導に従ってください。
Q7
道路に路地状部分(敷地延長)で接する物件の表記ルールを教えてください。
(路地状部分のみで道路に接する土地については)
路地状部分の面積が当該土地面積のおおむね30%以上を占めるときは、
その旨及びその割合又は面積の表示する必要があります。
不動産の表示に関する公正競争規約施行規則では…
特定事項の明示義務について、次のように定めています。(表示規約施行規則第7条(8))
路地状部分のみで道路に接する土地であって、その路地状部分の面積が当該土地面積のおおむね30パーセント以上を占めるときは、路地状部分を含む旨及び路地状部分の割合又は面積を明示すること。
表示例 土地/100㎡。路地状部分30㎡含む
路地状敷地である旨の表記が必要と判断された事例
敷地の概ね35%が路地状部分である。
このような物件を広告する場合は、「土地/130㎡(路地状部分約46㎡含)」等と表示する。(H19.3公取協賛助会員研修会資料より)
Q8
敷地の中に段差があったり、整形でない土地の表記を教えてください。
これらの土地については、その旨を表示する必要があります。
・土地の有効な利用が阻害される著しい不整形地
・区画の地盤面が2段以上に分かれている等の著しく特異な地勢の土地
不動産の表示に関する公正競争規約施行規則では…
特定事項の明示義務について、次のように定めています。(表示規約施行規則第7条(10))
土地の有効な利用が阻害される著しい不整形画地及び区画の地盤面が2段以上に分かれている等の著しく特異な地勢の土地については、その旨を明示すること。
公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会では、『不整形地等が著しいか否かは、一般消費者がその旨明示していないため、整形地であり土地の有効利用が阻害されないと誤認するかどうかで判断される』としています。(H19.3公取協賛助会員研修会資料より)
不整形と判断された事例
「売地1700万円土地176㎡地目/宅地第一種住居(60/200%)車庫入れ楽々間取り自由自在、即建築可」等と表示。
→「間取り自在」と記載し、この土地の形状が整形地であるかのように表示しているが、この土地は間口約5.5m、奥行き約40.2mの著しい不整形地である。(H19.3公取協賛助会員研修会資料より)
Q9
敷地内の上空に高圧線が通っている場合の表記ルールを教えてください。
土地の全部又は一部が高圧電線路下にあるときは、
その旨及びそのおおむねの面積を表示する必要があります。
不動産の表示に関する公正競争規約施行規則では…
特定事項の明示義務について、次のように定めています。(表示規約施行規則第7条(12))
土地の全部又は一部が高圧電線路下にあるときは、その旨及びそのおおむねの面積を表示すること。この場合において、建物その他の工作物の建築が禁止されているときは、併せてその旨を明示すること。
表示例 敷地面積150㎡。(高圧線下30㎡地役権設定あり。建築不可)
高圧線下の事例
左の土地は面積が182.86㎡ありますが、その49%にあたる89.99㎡が、高圧線下であって、その線下部分は建物の建築が禁止されています。
高圧線下にある旨の表記が必要となります。
またこの土地の形状は、概ね三角形であるため、著しい不整形地である旨の表記も必要となります。(H17.3公取協賛助会員研修会資料より)
Q10
「おとり広告」って架空物件だけですか?
「おとり広告」は架空物件だけではありません。
不動産の表示に関する公正競争規約では…
以下の3つに該当する表示をおとり広告として禁止しています。(表示規約第21条より)
- 1. 物件が存在しないため、実際には取引することができない物件に関する表示
- 例)架空の物件
広告表示と取引しようとする物件の内容、取引条件が広告表示と同一とは認められないもの - 2. 物件は存在するが、実際には取引の対象となり得ない物件に関する表示
- 例)広告日の数ヶ月前に契約済となっている物件
貸主からの借主募集依頼がないのに広告しているもの - 3. 物件は存在するが、実際には取引する意思がない物件に関する表示
- 例)広告した物件を見せることを拒否する
案内はするが、広告には表示しなかった物件の欠点を強調して他の物件を勧める長期間特定の物件のみを広告している場合など、客観的にみて広告物件を賃貸する意思がないと認められる場合
Q11
未完成の物件はいつから広告できますか?
未完成物件は、広告を開始できる時期に制限があります。
宅建業法33条で定められている代表的な例は以下2つです。
・新築戸建→「建築確認」(建築基準法第6条1項の確認)
・分譲宅地→「開発許可」(都市計画法29条)
宅地建物取引業法では…
広告開始時期を次のように制限しています。(宅建業法第33条)
宅地建物取引業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に関し必要とされる都市計画法第29条第1項 又は第2項の許可、建築基準法第6条第1項の確認その他法令に基づく許可等の処分で政令で定めるものがあった後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の売買その他の業務に関する広告をしてはならない。
不動産の表示に関する公正競争規約では…
広告開始時期を次のように制限しています。(表示規約第5条)
事業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、宅建業法第33条に規定する許可等の処分があった後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の内容又は取引条件その他取引に関する広告表示をしてはならない。
Q12
建築確認申請中なので、確認がおりるまで建築条件付き土地として広告することはできますか?
建築条件付き土地として広告する場合は、以下のような行為はできません。
× 建築確認を申請中なので、その建物プランを押し付ける
× 建築確認申請中のため、「プラン変更も可」と土地広告で表記する
× 建築確認がおりたら新築戸建広告に変更するつもりで申請中は条件付き土地で広告
× 売主は建築条件付き土地として取引するつもりなのに、勝手に新築戸建で広告
上記のような行為は、建築確認未取得段階での未完成住宅広告=宅建業法第33条違反に問われるリスクがあります。
また、「土地」としての取引の為、戸建の取引と誤認されないように広告する必要があります。
不動産の表示に関する公正競争規約では…
建築条件付き土地を次のように定義しています。(表示規約第4条6(1))
自己の所有する土地を販売するに当たり、自己と土地購入者との間において、自己又は自己の指定する建設業を営む者(建設業者)との間に、当該土地に建築する建物について一定期間内に建築請負契約が成立することを条件として売買される土地をいう(建築請負契約の相手方となる者を制限しない場合を含む。)
- 取引は「土地」です。「新築戸建」の青田売りではありません。
- 建物プランや間取りは、購入者が自由に選べます。
- あらかじめ決められた期間内に、建築請負契約が成立しない場合は、土地の売買契約は「白紙解除」となり、契約時に支払った金額は、すべて契約した消費者に返還されます。
Q13
上下水道やガスなどの設備費用を物件価格とは別に表示することはできますか?
生活に必要な上下水道・ガスなどの設備に関する費用は価格に含み
広告に表示してください。別途表記はできません。
不動産の表示に関する公正競争規約施行規則では…
価格について次のように定めています。(表示規約施行規則第9条より抜粋)
(34)土地の価格については、上下水道施設・都市ガス供給施設の設置のための費用、その他宅地造成に係る費用(これらの費用に消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という。)が課されるときは、その額を含む。)を含めて表示すること。
(38)住宅(マンションにあっては、住戸)の価格については、1戸当たりの価格(敷地の価格(当該敷地が借地であるときは、その借地権の価格)及び建物(電気、上下水道及び都市ガス供給施設のための費用等を含む。)に係る消費税等の額を含む。以下同じ。)を表示すること。
Q14
土地面積・建物面積の表示方法を教えてください。
不動産の表示に関する公正競争規約施行規則では…
面積について次のように定めています。(表示規約施行規則第9条より抜粋)
(14) 土地の面積は、水平投影面積を表示すること。この場合において、取引する全ての区画の面積を表示すること。ただし、パンフレット等の媒体を除き、最小土地面積及び最大土地面積のみで表示することができる。
(15)建物の面積(マンションにあっては、専有面積)は、延べ面積を表示し、これに車庫、地下室等(地下居室は除く。)の面積を含むときは、その旨及びその面積を表示すること。この場合において、取引する全ての建物の面積を表示すること。ただし、新築分譲住宅、新築分譲マンション、一棟リノベーションマンション、新築賃貸マンション、新築賃貸アパート、共有制リゾートクラブ会員権については、パンフレット等の媒体を除き、最小建物面積及び最大建物面積のみで表示することができる。
表示例
- 建物面積に車庫を含む物件の場合
建物面積:123㎡(うち1F車庫20㎡)
Q15
私道負担がある場合の表示方法を教えてください。
「私道負担」がある場合は「土地面積」「私道負担」、各々の面積の表示が必要です。
土地面積に私道負担の面積を含めることはできません。
不動産の表示に関する公正競争規約では…
「土地面積」を「私道負担面積」と分けて表示する旨を定めています。(表示規約8条に規定する必要な表示事項別表1,3,4,5より)
土地面積及び私道負担面積(パンフレット等の媒体を除き、最小面積及び最大面積のみで表示することができる。)
表示例
下記のA~F区画の分譲地でオレンジの私道で公道にB・C・D・Eは接道している
ケース1:
私道部分を4つに分け、B・C・D・Eの4区画が各区画ごと所有する場所も決めている場合
単独所有の為、私道面積を表記→私道負担面積:○㎡
ケース2:
私道部分全体をB・C・D・Eの4区画で共有、各区画1/4持分有=場所は決まっていない場合
私道部分共有持ち分を表記→私道負担共有56㎡×1/4
Q16
近くの駅は利便性がよくないため、遠方ではあるがターミナル駅を最寄駅として広告しても良いですか?
周辺住人が日常使用しないような遠方の利便性の高いターミナル駅を、
主要交通などに表示すると、物件状況によっては指導の対象となるリスクがあります。
不動産の表示に関する公正競争規約施行規則では…
交通の利便性の表示について、次のように定めています。(表示規約施行規則第9条(3))
交通の利便については、公共交通機関を利用することが通例である場合には、次の基準により表示すること。
ア 鉄道、都市モノレール又は路面電車(以下「鉄道等」という。)の最寄りの駅又は停留場(以下「最寄駅等」という。)の名称及び物件から最寄駅等までの徒歩所要時間を明示して表示すること。
イ 鉄道等の最寄駅等からバスを利用するときは、最寄駅等の名称、物件から最寄りのバスの停留所までの徒歩所要時間、同停留所から最寄駅等までのバス所要時間を明示して表示すること。この場合において、停留所の名称を省略することができる。
ウ バスのみを利用するときは、最寄りのバスの停留所の名称及び物件から同停留所までの徒歩所要時間を明示して表示すること。
Q17
宅地造成工事や建物建築工事の完了とは、どの時点を言うのでしょうか?
不動産の表示に関する公正競争規約では…
特定用語の使用基準を次のように定義しています。(表示規約第18条(5)(6))
(5)「宅地の造成工事の完了」
宅地上に建物を直ちに建築することができる状態に至ったことをいい、当該工事の完了に際し、都市計画法(昭和43年法律第100号)その他の法令による工事の完了の検査を受けることが必要とされるときは、その検査に合格したことをいう。
(6)「建物の建築工事の完了」
建物をその用途に従い直ちに使用することができる状態に至ったことをいう。
- 土地の場合
未造成であれば、「造成完了予定年月」、さらに「都市計画法29条の開発許可が必要な場合は開発許可番号」の表記が必要です。 - 一戸建の場合
未完成であれば、「建築確認番号」と「入居予定時期」、完成済であれば「建物の建築年月」の表記が必要です。
Q18
ロフトを部屋面積に含めて表示しても良いですか?
建物面積又は専有面積に小屋根部屋、ロフト等の面積を含めて表示してはいけません。
ロフトは、建築基準法上の床面積に算入されません。
そのため、広告表示の際も面積に含めてはいけません。
また、サービスルーム(納戸)とも異なりますので、間取り表記で「S」と表示することもできません。
ロフト | 建築基準法上、床面積に算入されない |
---|---|
納戸 | 建築基準法上、床面積に算入される |
Q19
DKやLDKの広さってどれくらいですか?決まりはありますか?
DKやLDKの広さについては、目安が設けられています。
不動産の表示に関する公正競争規約実施細則では…
DK・LDKの広さ(畳数)の目安となる指導基準では以下のように定められています。
事業者(広告会社などを含む。)が、DK又はLDKとの表示を用いるときには、実際のそれぞれの広さはまちまちであるとしても、次表に記載する居室(寝室)数に応じて最低必要な広さ(畳数)の目安(下限)を定め、これをもって指導基準とする。
最低必要な広さ(畳数)の目安(下限)
居室(寝室)数 | DK | LDK |
---|---|---|
1部屋 | 4.5畳 | 8畳 |
2部屋以上 | 6畳以上 | 10畳以上 |
なお、一畳当たりの広さは、1.62平方メートル(各室の壁心面積を畳数で除した数値)以上をいう。
また、この基準は、あくまでも建物が取引される際に、DK又はLDKの広さ、形状および機能に関する基準を定めたものではない。
Q20
借地権物件の場合にはどんな項目を表記しなければならないのでしょうか?
建物:Aさん所有(Bさんとは借地契約を締結)
左のように、他人(Bさん)の敷地を借りて建てた建物を建物の所有者(Aさん)が売ることを「借地権付物件」の販売といいます。
借地権の種類 | |
---|---|
一般定期借地権 | 借地契約期間満了後は更地にして返還。原則更新不可 |
普通借地権 | 借地契約期間満了後、原則更新可 |
敷地が「借地権」の場合は、以下の表記が必要です。
- 借地権の種類
(普通借地権か定期借地権、地上権か賃借権か、普通借地権の場合は、旧法・新法いずれなのか等) - 借地期間
(例:新規○年・残存期間○年) - 借地料(地代)
- 所有権と借地権が混在する場合は借地権の割合
- 権利金がある物件については、価格には権利金を含む額を表示し、その旨を広告に表記します。
- 契約期間終了時に返却する保証金・敷金がある場合も表示が必要ですが、その金額は価格に含んで掲載できません。
Q21
再建築時にセットバックが必要な物件です。
セットバック部分の面積を土地面積に含んで表示しても良いですか?
土地・中古住宅で住宅建築時にセットバックが必要な場合は、
その旨の表示が必要です。
またセットバック面積が土地の10%以上の場合は、
土地面積に含むことはできますが、
別途セットバック面積の表示も必要です。
不動産の表示に関する公正競争規約施行規則では…
セットバックについて次のように定めています。(表示規約施行規則第7条(2))
建築基準法第42条第2項の規定により、道路とみなされる部分(セットバックを要する部分)を含む土地については、その旨を表示し、セットバックを要する部分の面積がおおむね10パーセント以上である場合は、併せてその面積を明示すること。
従って、土地・中古住宅で住宅建築時にセットバックが必要な場合は、その旨の表示が必要となり、セットバック面積が土地の10%以上の場合は、土地面積に含むことはできますが、別途セットバック面積の表示も必要です。
表示例
下記の中古住宅の敷地80.55㎡は、幅員3mの建築基準法42条2項道路(みなし道路ともいう)に接道しているため、再建築時には、道路幅員4mになるように、道路両側、各々の敷地が、道路中心線から2mになるようセットバックが必要。この物件ではその面積は17㎡
Q22
物件の写真について、使用ルールはありますか?
物件広告の画像は実際に取引する物件の画像を加工をせずに掲載してください。
不動産の表示に関する公正競争規約施行規則では…
使用する写真について次のように定めています。(表示規約施行規則第9条(22))
宅地又は建物の写真又は動画は、取引するものを表示すること。
ただし、取引する建物が建築工事の完了前である等その建物の写真又は動画を用いることができない事情がある場合においては、取引する建物を施工する者が過去に施工した建物であり、かつ、次に掲げるものに限り、他の建物の写真又は動画を用いることができる。この場合においては、当該写真又は動画が他の建物である旨及びアに該当する場合は、取引する建物と異なる部位を、写真の場合は写真に接する位置に、動画の場合は画像中に明示すること。
ア 建物の外観は、取引する建物と構造、階数、仕様が同一であって、規模、形状、色等が類似するもの。
ただし、当該写真又は動画を大きく掲載するなど、取引する建物であると誤認されるおそれのある表示をしてはならない。
イ 建物の内部は、写される部分の規模、仕様、形状等が同一のもの。
当該物件の写真を用いることができない場合には、上記ア・イに該当する写真を用いることも可能ですが、他の物件の写真である旨を必ず明示する必要があります。また、アに該当する場合には、取引する建物と異なる部位の明示も必要です。
Q23
新築を購入したが入居半年で売却されることになった物件があります。
築1年未満だし、室内もとても綺麗なので「新築」と表記しても良いですか?
短期間であっても、
一度でも人が住んだことがある物件は「新築」とは表記できません。
不動産の表示に関する公正競争規約では…
「新築」について次のように定められています。(表示規約第18条(1))
「新築」とは、建築後1年未満であって、居住の用に供されたことがないものをいう。
状況 | 新築と表記できるか | |
---|---|---|
モデルハウスとして来訪者が内覧していた完成後9ヶ月の戸建 | 築1年未満で 誰も住んでいない |
新築 |
所有権移転登記はしたが、一度も入居することなく転売した築1ヶ月のマンション | 築1年未満で 誰も住んでいない |
新築 |
完成前に販売中断し築2年目に入った戸建 | 誰も住んでいないが 築1年以上経過 |
未入居 |
社宅として使用されていた建物を一棟買取りリノベーションして販売 | 社宅として 使用していたため |
中古 |
Q24
不動産広告における表現の注意点はありますか?
不動産の表示に関する公正競争規約では…
最上級表現や完全を意味するような表現を広告に使用する場合は、合理的な根拠となる資料があること、また、(4)(5)は根拠の併記も必要、と定められています。(表示規約第18条第2項より)
(1)物件の形質その他の内容又は役務の内容について、全く欠けるところがないこと又は全く手落ちがないことを意味する用語
例) 「完全」、「完ぺき」、「絶対」、「万全」等
(2)物件の形質その他の内容、価格その他の取引条件又は事業者の属性に関する事項について、競争事業者の供給するもの又は競争事業者よりも優位に立つことを意味する用語
例) 「日本一」、「日本初」、「業界一」、「超」、「当社だけ」、「他に類を見ない」、「抜群」等
(3)物件について一定の基準により選別されたことを意味する用語
例)「特選」、「厳選」等
(4)物件の形質その他の内容又は価格その他の取引条件に関する事項について、最上級を意味する用語 ※根拠の併記も必要
例) 「最高」、「最高級」、「極」、「特級」等
(5)物件の価格又は賃料等について、著しく安いという印象を与える用語 ※根拠の併記も必要
例) 「買得」、「掘出」、「土地値」、「格安」、「投売り」、「破格」、「特安」、「激安」、「バーゲンセール」、「安値」等
(6)物件について、著しく人気が高く、売行きがよいという印象を与える用語
例)完売等
上記(1)から(6)の例以外の用語であっても、これらの用語に類するものであれば、上記規定が適用されることになります。
また、これらの用語を合理的な根拠を示す資料を有しないのに使用した場合は、本項に違反するほか、表示規約第23条(不当表示の禁止)にも違反しますので、広告でこれらの用語を使用する際は注意が必要です。
Q25
販売価格を下げました。
元の価格と新しい価格を比べて、値下げしたことをアピールできますか?
不動産広告においては、公取協の表示規約で、二重価格表記ができる条件が
定まっており、その条件を満たさずに二重価格表記をすることはできません。
不動産の表示に関する公正競争規約では…
(過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示)※表示規約施行規則より
第12条 過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示は、次に掲げる要件のすべてに適合し、かつ、実際に、当該期間、当該価格で販売していたことを資料により客観的に明らかにすることができる場合を除き、規約第20条において禁止する不当な二重価格表示に該当するものとする。
(1)過去の販売価格の公表日及び値下げした日を明示すること。
(2)比較対照価格に用いる過去の販売価格は、値下げの直前の価格であって、値下げ前2か月以上にわたり実際に販売のために公表していた価格であること。
(3)値下げの日から6か月以内に表示するものであること。
(4)過去の販売価格の公表日から二重価格表示を実施する日まで物件の価値に同一性が認められるものであること。
(5)土地(現況有姿分譲地を除く。)又は建物(共有制リゾートクラブ会員権を除く。)について行う表示であること。
(不当な二重価格表示)※表示規約より
第20条 事業者は、物件の価格、賃料又は役務の対価について、二重価格表示(実際に販売する価格(以下「実売価格」という。)にこれよりも高い価格(以下「比較対照価格」という。)を併記する等の方法により、実売価格に比較対照価格を付すことをいう。)をする場合において、事実に相違する広告表示又は実際のもの若しくは競争事業者に係るものよりも有利であると誤認されるおそれのある広告表示をしてはならない。
表示例
旧価格と新価格の比較をしていない以下の◎表記例は、二重価格表示に該当しないため、条文の条件を満たさなくても表記可能です。
表記例 | 二重価格か? | 理由 | |
---|---|---|---|
1 | 6000万円を5400万円に値下げしました。 | 二重価格表示 にあたる |
新・旧の価格がわかるように表示されているため。 (旧価格表示はなくても、値引き率・額等で旧価格算定可能) |
2 | 新価格5400万円で登場!(旧価格6000万円) | ||
3 | 10%値下げ!新価格5400万円 | ||
4 | 新価格5400万円 600万円値下げしました! | ||
5 | 新価格5400万円! | 二重価格表示 にあたらない |
新価格表示のみ。 値下げ率・額がなく、旧価格はわからないため。 |
6 | 値下げしました、新価格は5400万円 |
Q26
マンション購入者に家具をプレゼントする企画を考えています。
いくらまでの家具なら提供できますか?
また このプレゼント企画を広告をしなければ制限を受けることはないのでしょうか?
不動産の取引で景品類を提供するときは、「不動産の景品規約」の適用を受けます。
広告しかたどうかに関わらず、景品類の提供行為自体が制限の対象です。
不動産業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約では…
不動産の購入・売却等の取引を条件にしたり、物件・店舗来訪を条件に景品類を提供する場合は、下記の通りとなります。
提供の方法 | 提供可能な景品額 |
---|---|
抽選 | 取引価格の20倍または10万円のいずれか低い額(注1) |
全員(先着順) | 取引価格の10%または100万円のいずれか低い額 |
取引価格とは?(注2) | |
売主・代理 | 販売価格 |
仲介(媒介) | 仲介手数料(注3) |
注1:総額は取引予定総額の2%以内の制限あり
注2:消費税込の額で可
注3:景品を提供する相手との取引で得る媒介報酬限度額
例:媒介報酬限度額(3%+6万)が98万で実際は90万しか受け取らなくても98万で算定可
例1)全員に景品を提供する(※物件価格3000万、仲介手数料限度額96万と仮定)
例2)「抽選」で20名に10万円の商品券をプレゼントする
上記の通り取引価額の20倍か10万円のいずれか低い額が適用
→不動産売買で価格5000円はないと思われるため、10万円がとなります。
※総額規制もあるので注意
※値引き行為は「景品ではない」ため、「正常な商習慣の範囲」であれば景品規約での上限額の適用はありません。
ただし、値引き行為でも、対象者を抽選で選ぶ場合などは、不動産の景品類の提供となり、不動産の景品規約の提供額の上限の適用があります