講師と2名の生徒による会話形式で構成しております。
<キャスト紹介>
k: 不動産鑑定士。不動産広告におけるスペシャリストで生徒の質問にも優しく答える
b: 博識な生徒。真面目で疑問はその場で解決しないと気が済まないタイプ
c: 思い込みが激しいが故にミスを犯しやすい生徒。無邪気に素朴な疑問を投げかける
第6回 恒例企画!オンシーズンを迎える前に!
◆ユーザー指摘が多いのは、成約済や金額の間違い
- k:早いものでもう12月。間もなくオンシーズンですね。
- b:今回はいつもの問題形式とは異なり、今年SUUMOに寄せられたクレームから、繁忙期に気を付けるべきポイントについて確認していくんですよね?
- c:忙しい時のクレーム対応は勘弁してほしいですからね。
- b:ところで、賃貸のクレームとしてはどのようなものが多いのでしょうか?
- k:一番多かったのは、やはり"成約済"です。ついで"元付無断掲載"、"賃料や一時金などの金額に関する表記違い"です。これらがクレームの大部分を占めているといっても過言ではありません。
- b:なるほど。その3項目に注意しておけば、トラブルの大部分は防げるということですね。
◆成約済物件の掲載を防止するためには
- b:では、まず考えるべきは、"成約済物件の掲載防止"ですね。
- c:これは「1週間に1回は確認する」、ということにつきるんじゃない?
- k:それも大事ですが、それだけでは万全ではありません。防止のポイントを確認しておきましょう
① 元付会社・管理会社からの連絡を待つのではなく、積極的、能動的に確認する。 ② マンションの場合は、部屋番号を指定して空室確認する。 ③ 社内の連絡を密にする。 |
- b:①は大事ですよね。「成約すれば連絡をくれる管理会社さんだったので、確認しないまま掲載を続けていたら、実は成約になっていた…」という話を聞いたこともあります。
- c:オンシーズンは管理会社さんも忙しいですからね。そういうことも起こるのかも。
- k:管理会社の担当者が変わると連絡がもらえなくなる、ということもありえます。やはり連絡待ちではなく、積極的に確認することが必要でしょう。
- b:②は「○○マンションはまだ空いていますか?」という確認では不十分だ、ということですね。
- c:そうだよね。「○○マンションの301号室はまだ空いていますか?」という確認でないと、「空室は別の部屋だった!」ということも起こるよね。
- k:そうです。もし空いている部屋の賃料が広告表示より高い場合には、虚偽広告だと言われかねません。
- b:③はどういうことでしょう?
- k:「成約済の連絡を受けた営業担当者とHPに広告掲載するネット担当者との連絡が不十分だったため、掲載が落とされなかった」といったケースです。
- b:忙しい時期だからこそ、報告・連絡の徹底が必要ということですね。
- k:その通りです。なお、契約段階には至っていない「申込み済の物件」であっても、成約済物件と同様におとり広告として扱う、というのが公取協の見解です。ご注意ください。
◆元付無断掲載
- b:"元付無断掲載"についてはどういったことが多いのでしょうか?
- k:これに関してはこちらでご紹介したとおりです。ネット広告の普及によって件数が増え、依然なかなか改善されないのが悩みのタネですね。
- c:注意ポイントや事例も紹介していますから、是非読んでいただきたいですね。
◆契約に必要な一時金は表示する
- c:"金額に関する表記違い"ではどういったものがあるんですか?
- k:単純な表記ミスを別にすれば以下のものが多いです。
① 保証会社の加入が義務付けられていたのにその旨、金額の表示がない ② ペット飼育時には、敷金が1ヶ月分追加になるのにその記載がない ③ キャンペーン賃料の表示ルール違反 |
- c:①は、規約にも明文化されていますからね。表示しないと怒られちゃいます。
- k:保証会社の利用料に関する報告が多いですが、契約時に必要な費用は広告に表示することが義務付けられています。
- b:例えばどんなものがあるんですか?
- k:鍵交換代の未記載が多いですね。物件によっては「ルームクリーニング費用」「24時間ルームサポート対応費用」といったものがかかる場合もあるようです。
- b:鍵交換代ですか!鍵って大家さんが替えてくれるものかと思っていました。
- c:ルームクリーニング代も借主が負担するのか…。
- k:確かに項目によっては「本来、貸主が負担すべき費用ではないか」と考えられるものもあります。しかし法律論はさておき、その費用を支払わなければ契約できないのなら、表示が必要であるというのが規約の考え方です。
- c:契約の時になって、予期せぬ費用を請求されても困りますからね。
- b:②もよく耳にしますね。ペット可物件だと思って喜んでいたら、敷金積み増しが必要と言われた…とかですね。
- c:③のキャンペーン賃料の表示ルールもたしかこの連載スタートのときに解説しましたね。
- b:「賃料欄には通常賃料を表示し、キャンペーン賃料は備考欄などに書く」というものですね。
- c:連載スタートの頃はルール違反の表示も多かったように思いますが、未だに問題になっているんですか?
- k:ルールもだいぶ浸透してきたようなんですが…。中には誤解されている方もいるようです。
◆こだわり条件には注意が必要
- b:これ以外にはどのようなクレームがあるのでしょう?
- k:SUUMOの入稿にあたっては「特徴項目」の選択にも注意が必要です。特に「こだわり条件」検索対象となっているものは正確に選んで頂きたいです。
- c:「こだわり条件」検索対象ですか?
- k:ユーザーの検索対象となるものです。入稿画面では「検索」というマークがついています。
- b:入稿画面で確認してみましょう。
- <SUUMO入稿画面>
- b:設備が無いのに選択してしまう、ということでしょうか?
- k:それも困るんですが、設備はあるものの、本来は選択してはいけないものまで選んでしまうということがあるようです。
- c:本来は選択してはいけないもの?どういうことですか?
- k:例えばシステムキッチンです。本来であれば、システムキッチンとは呼べないものまでチェックしてしまい、クレームとなることがあります。
- b:システムキッチンとは呼べないもの??
- k:では質問。どういうものならシステムキッチンと呼べると思いますか?
- b:改めて考えると難しいですね、機能的なキッチン?
- c:うーーん、おしゃれなキッチン?定義とかは考えたことなかったなぁ。
- k:機能的でおしゃれかどうかは人によって判断が分かれることなので、SUUMOでは次のように定義しています。
- 収納具・調理設備・洗浄設備・作業台などを組み合わせて天板で一体化したキッチン(おおむね間口160cm以上)。
※単身用住宅に設置されるような、間口の狭いミニキッチン・コンパクトキッチンは含まない。 - c:間口がおおむね160㎝以上という規定があるんですか!
- k:そうです。ワンルームなどに使用されている小型のものは、天板が一枚板であっても、システムキッチンとは呼べません。
- b:これはSUUMO独自のルールなんでしょうか?
- k:そうではありません。主要な不動産情報サイトで構成する「不動産情報サイト事業者協議会(RSC)」が推奨する広告表記規定でも、同じように定義していますので、情報サイト共通のルールと考えていいでしょう。
◆オンシーズンこそ、細かいところにも注力を
- b:RSCでシステムキッチンの定義を決めているなんて知りませんでした。
- c:うーーん。間口が160㎝なくても、おしゃれで使いやすいキッチンもあると思うんだけどなぁ。
- k:確かにそうでしょう。しかし検索条件である以上、一定の基準を設けておく必要があります。過去には一口コンロなのにシステムキッチンにチェックしていた例もありました。
- c:それはちょっと…。
- b:「こだわり条件」として検索した意味がないですね。
- c:検索したユーザーの期待を裏切らないように、情報サイト共通の基準を設けているわけか。
- k:そうです。深刻なクレームにはならなくても、ユーザーの期待に沿えないような広告では、成約は期待できません。オンシーズンだからこそ、細かいところにも注意を払って反響、成約へと結び付けていく必要があるのだと思います。
- b:新しい方もどんどん業界に入ってきているでしょうから初めての繁忙期を迎えられる方も多いでしょうね。
- c:この連載のバックナンバーも活用して頂ければ…、私達も嬉しいですね。
- k:少し早いですが、今年もお世話になりました。来年も「そうだったのか!不動産広告」にお付き合い頂き、わかりやすく信頼される広告表示に努めて頂ければと思います。
皆さま、どうぞよいお年をお迎えください。
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