今回から「そうだったのか!不動産広告 SUUMO掲載実践編」をお送りします。
設問とそれに対する解答を講師と2名の生徒による会話形式で構成しております。
<キャスト紹介>
k: 不動産鑑定士。不動産広告におけるスペシャリストで生徒の質問にも優しく答える
b: 博識な生徒。真面目で疑問はその場で解決しないと気が済まないタイプ
c: 思い込みが激しいが故にミスを犯しやすい生徒。無邪気に素朴な疑問を投げかける
第1回 ロフトのある部屋
【問題】 図1のように上部がロフトとなっている物件がある(床面積は27m2。ロフト部分5m2)。この物件の面積の表示について正しいものはいくつあるか。 ①「32m2」とのみ表示し、ロフトについては触れなかった ②「32m2(ロフト部分5m2を含む)」と表示した ③「27m2(他ロフト部分5m2あり)」と表示した |
<図1>
◆ロフトとは
- k:ロフトってわかりますか?
- c:2階みたいなやつですよね。
- k:一般には、居室の天井高を高くして部屋の一部を2層式にした上部スペースのことを言います。イラストのようなものですね。高さは1.4m以下のものをいいますから、2階とは違います。法律で定義されている用語ではないのでいろいろな使われ方があるかもしれませんが、SUUMOではこの意味で使っています。
- b:収納スペースが広くなって便利ですよね。
- k:ロフト部分は、収納スペースとして利用されることが多いですが、ベッドを設置して寝室のように利用しているシングル向け賃貸住宅もあるようです。
◆ロフトは床面積には含めない
- c:問題は広告でどういう表示をするかってことですから、①はダメでしょうね。ロフトに触れず面積だけ表示しているわけですから・・・。
- b:③は問題ないんでしょうけど、②はどうなんだろう。ロフト部分があることがわかるからいいような気もしますけど。
- k:正しい表示は③のみです。ロフト部分を床面積に入れてはいけません。ロフトは建築基準法上の床面積に算入されないため、②では不当表示になります。
- b:広告に面積として表示していいのは、建築基準法上の床面積だけってことですね。
- k:ロフトは、高さも1.4m以下と制限されていますし、固定階段もつけられないのが一般的ですから、基準法上は床面積に算入しません。あくまで収納スペースという位置づけなんでしょうね。
◆建築基準法
- c:なんでそんな中途半端なものを作るんだろう?高さももっとあった方が使いやすいのに…。
- k:基準法上の床面積に算入させないためですよ。
- c:????算入させないため?
- b:算入されると何か不利益があるのですか?
- k:基準法上の床面積に算入されると、容積率オーバーになることもあるでしょう。ロフト付きの木造2階建だったものが、3階建になってしまいますから、構造計算が必要になったりといろいろ面倒になると思います。
- c:だから、ロフトにして床面積に算入にされないようにするわけか。
- k:そうです。基準法上は床面積ではないのですから、広告表示上も床面積に含めるわけにはいきません。
◆SUUMOの入稿では
- b:SUUMOではどのように入稿すればいいのでしょうか?
- k:面積欄には、ロフトを含めない27m2を入力します(あ)。バルコニー面積も入力します(い)。
- b:ロフトの面積はどこに入れるのですか?
- k:SUUMOではロフト面積の入稿欄がありません。記入するとすれば、備考欄ということになります。
- c:右の方にロフトという欄がありますね(う)。ここに面積を記入してはダメなんですか?
- k:ここは間取りの表示欄ですから、ロフトの畳数を入力します。今回の場合、ロフト部分が5m2ですから1.62m2を1畳として計算し、「ロフト3畳」と入力します。
- b:SUUMOには1DK 洋7、DK4.5、ロフト3 と表示されるのですね。
- c:ロフトを一部屋と数えて2DKとしてはいけない、ということか・・・。
- k:そうです。ロフトは居室ではないので二部屋とカウントすることはできません。
◆サービスルームとも異なる
- b:あのー、ちょっといいですか?
- k:なんでしょう?
- b:先ほどの例で2DKとしてはいけないというのはわかるのですが、1SDKとしてはいけないのでしょうか?
- k:ダメです。
- c:ダメなんだ。
- k:「S」とはサービスルームのことですよね。
- b:サービスルームとロフトとは違うんですか?
- k:違います。サービスルームというのは、採光や換気の関係から建築基準法上の居室とは認められない部分のことです。表示規約上は「納戸」と呼ばれるものですね。
- c:納戸とロフトは違う???
- k:違います。建築基準法上床面積に入るけど、居室とは認められないものがサービスルーム(納戸)です。これに対しロフトは基準法上の床面積にも入りません。
- c:なるほど…。表にしてみるとこういうことか。
<表>建築基準法上、床面積に算入されるのか
サービスルーム(納戸) | 算入される |
ロフト | 算入されない |
◆グルニエ、メゾネットとは?
- b:入稿画面には「グルニエ」というのもありますね(え)。
- k:はい、でもこれはロフトと同じ意味なんです。
- c:同じなのにどうして呼び方がちがうんですか?
- k:戸建の場合にはグルニエという呼び方が多いようです。とはいっても法律や表示規約で定義されているわけではないので、戸建でロフトということもあると思います。
- b:ロフトは「メゾネットタイプ」とも違うのでしょうか?
- k:違います。共同住宅で上階、下階を1住戸として使用する場合にメゾネットタイプと表示します。しつこいようですが、法律用語ではないので、業者さんによっては同じ意味に使われる場合もあるかももしれませんが、一般的には両者は異なるものですし、SUUMOでも一般的な用法に従っています。
- c:つまり一番偉いのが「普通の居室」、次が「サービスルーム(納戸)」、一番下が「ロフト」という理解でいいでしょうかね?
- k:・・・偉いかどうかわかりませんが、そういう整理の仕方もあるかもしれませんね。サービスルーム(納戸)は床面積には算入できるが居室の要件を満たさないものですが、ロフトは床面積にすら算入できませんからね。
- b&c:「床面積」に算入されるかどうか?がカギなんですね。勉強になりました!
【解答&今回のまとめ】
解答:正しい表示は③のみ。 <今回のPoint> ● ロフトは建築基準法上の床面積に入らないのだから、広告表示の際も面積に含めてはならない。 ● サービスルーム(納戸)とも異なるから、間取り表示でSと表示することもできない。 |
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