講師と2名の生徒による会話形式で構成しております。
キャスト紹介不動産鑑定士。不動産広告におけるスペシャリスト。大学の不動産学部でも教えている。
知識も豊富で博識な生徒。真面目で疑問はその場で解決しないと気が済まないこだわり屋さん。
思い込みが激しくミスを犯しやすい生徒。無邪気に鋭い指摘や疑問を投げかけたりもする。
第18回 恒例企画 オンシーズンを迎える前に2016
■おとり広告撲滅は業界全体の課題
- 早いものでもう12月。今年の記事を振り返りながら、重要テーマのおさらいをしたいと思います。
- 重要テーマと言えばやっぱり物件クリーニングですよね。今年に限った話題ではないですけど、オンシーズン前ですし。
- 物件クリーニング、つまり成約済物件の掲載防止は、今の賃貸業界の最重要課題です。今年はTVや新聞でおとり広告の問題が取り上げられるなど、社会的関心も高まりましたので、一層の注意が必要でしょう。
- 新しい動きもあったようですね。
- はい。首都圏公取協さんが新しい施策を発表しました。表示規約に違反し、厳重警告及び違約金課徴の措置を受けた業者については、大手不動産サイトでの広告ができなくなります。詳細はこちらをご覧下さい。
- SUUMOだけでなくホームズさん、アットホームさん、CHINTAIさん、マイナビさんの掲載もできなくなる、ということですね。
- 1か月間以上の掲載停止ですか。厳しいですねー。
- 業界全体でおとり広告の撲滅に取り組んでいくということです。
- 不注意で成約済み物件を掲載すると、情報サイトが利用できないってことになってしまいますよね。オンシーズンにそんなことになったら大変ですよね・・・。
- 違約金課徴を受けるというのは、数カ月にわたって成約済物件を掲載するといった悪質な場合です。普通の業者さんならそういう事態にはならないはずです。
- なるほど。
- とはいえ、トラブルを防ぐ、エンドユーザーからの信頼を確保するという意味では、物件クリーニングには力を入れて頂きたいです。
■国土交通省からも通知が
- また、11月29日には、国土交通省より業界団体あてに「おとり広告の禁止に関する注意喚起等について」という通知も出されました。
- そうなんですか!
- 業界団体って…。
- 全国宅地建物取引業協会連合会、全日本不動産協会、不動産協会、全国住宅産業協会、不動産流通経営協会の5団体です。
- やはり、成約済物件が問題となっているのですか?
- はい。「成約済の物件を速やかに広告から削除せず、広告の更新予定日を過ぎても当該物件のインターネット広告等を継続することも、おとり広告に該当します」と明記されています。
- 公取協さんを訪問した際(2016年4月号)にも、「おとり広告をする意図はなくても結果として成約済物件が放置されていることもある」といったお話しがありましたね。
- 成約になったらすぐに掲載を削除する。そして、少なくとも1週間に1回は物件クリーニングを!というお話でしたね。
- その通りです。
- 成約済み物件の防止については、こちらもご覧ください。
■ユーザースタンスに立った情報提供を心掛ける
- 今年の連載を振り返ると「曖昧な表示・表現」を取り上げた記事も多くありましたね。
- 曖昧、ですか??
- 「住戸からの眺望を撮影した画像なら、室外機しか映っていなくても眺望写真といえるのか」、「ドアチェーンがあるだけセキュリティに配慮」と言えるのか、といった話ですよ。
- 2016年10月号ですね。「ペット相談」とはどこまでなのか?なんていう話もありましたね(2016年8月号)。
- 「ペット相談」は情報の発信側と受け手側(ユーザー)の認識違いというトラブルを防ぐためにも、可能な限り備考欄で詳しい表示をすることが望ましいということでしたね。
- 「相談」という言葉は便利ですけど、ユーザーが過剰な期待をすることも考えられますからね。
- ペットの飼育条件については、交渉可能な部分もあるので全部は確定できないかもしれませんが、できる限り詳しく表示することが望まれます。また「眺望写真」「セキュリティ」という言葉からユーザーは何を期待するのか。「その期待を裏切らない」ことが大切でしょうね。
- ルール違反とまでは言えないけれど、注意を払った方がいい表示や表現方法があることに気づきました。
- ユーザーの立場に立った広告表現をする、ということですよね。
■元付、客付の連絡を密にして正しい情報提供を
- 他に注意すべき点はあるでしょうか。
- 今年は特に取りあげませんでしたが、キャンペーン賃料の表示ルールを守る、契約条件や必要な一時金を明示する、ということも大切です。
- 賃料や一時金、契約条件は物件選択の大きなポイントですものね(2012年11月号 参照)。
- もうひとつ。トラブルを防止するには、元付さんと客付さん双方で連絡を密にする、ということも大切かと思います。
- 具体的なトラブルがあるんですか?
- 「案内可能、ということで広告を続けていたが、申し込みが入っている物件だった」「築年、面積が間違っていた」というものがあります。
- それは困りますよね。広告主責任で客付業者さんが責任をとらされてしまいます。
- 築年や面積が間違っている、なんてことがあるんでしょうか。
- 建築年月が実は増改築の年月日だったとか、ロフトも面積に含んでいた、といったことがあるようです。
- ロフトかー。床面積に入れてはいけないんでしたよね(2014年2月号 参照)。
- 逆に元付け業者さんから客付業者さんへのクレームもあるのでしょうか?
- 「交渉賃料で広告された」といったものがありますね。
- 2013年12月号で取り上げましたね。
■オンシーズン前に再確認を
- 振り返ってみると、たくさんの重要テーマを学んできたんですね。
- 不動産広告ルールの解説だけの連載なんて、他にはないですよね。
- それも賃貸領域だけに絞り込んでますから。
- 素晴らしいじゃないですかぁ、領域特化!
- 無謀ともいいますが…。
- まぁ、そういわずに来年も頑張りましょうね。
- 賃貸広告ルールに特化した解説記事の数々、オンシーズン前に、ぜひもう一度読んで再確認ください。
- すべての記事はこちらから。
- 皆様、1年間ありがとうございました。どうぞ、よい年をお迎えください。
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