そうだったのか!不動産広告。SUUMO掲載実践編

講師と2名の生徒による会話形式で構成しております。

キャスト紹介
K先生 不動産鑑定士。不動産広告におけるスペシャリスト。大学の不動産学部でも教えている。
Bさん(生徒) 知識も豊富で博識な生徒。真面目で疑問はその場で解決しないと気が済まないこだわり屋さん。
Cさん(生徒) 思い込みが激しくミスを犯しやすい生徒。無邪気に鋭い指摘や疑問を投げかけたりもする。

第16回 「○○相談」はどこまで希望がかなうのか?


  • 今回は「相談」について聞いてみたいと思います。
  • 「ペット相談」「楽器相談」…。結構多いですよね。
  • 「相談すれば希望をかなえてくれる!」って意味でしょうか?
  • どうなんでしょう…。
  • それでは「相談」という表現が使えるのはどういう場合なのか。確認していきましょう。

■飼えるのか、飼えないのか。それが問題だ

  • まず、「ペット相談」ですけど、SUUMOでは「ペット可」と「ペット相談」という表示が混在していますよね。
  • 特徴項目では、「ペット相談」しか選択できませんが、備考欄に「ペット可」と書かれていることも少なくないですよね。「ペット相談」って「ペット可」とは違うんでしょうか?
  • 「ペット相談」は、相談にのってもらえるだけで、実はペットが飼えない~(涙)、なんてことはないですよね?
  • もちろん、そんなことはありません。ペットが飼えないのなら「ペット相談」を選択することはできません。
  • SUUMOの特徴項目の定義は…。こちらですね。
ペット相談:犬・猫などの中型の動物の飼育も相談に応じる、または可能である(ハムスターや小鳥などの小動物のみが飼える場合は除く)

■小動物のみならば「ペット相談」を選択できない

  • 「小動物のみが飼える場合は除く」ですか。少し安心しました(笑)。基本的には犬または猫が飼える物件だということですね。でも「相談に応じる」だから、やっぱり飼えない場合もあるということ?
  • ペットの種類にもよるということでは…?犬はいいけど猫は床や柱にキズがつきやすいのでダメ、というオーナーさんも多いということを聞いたことがあります。
  • その通りです。また、犬がOKの場合でも「小型犬1匹まで」などといった制限がつくのが一般的だと思います。
  • 「小型犬1匹まで」と決まっているのなら、備考欄にそのことを表示していただいた方がユーザーとしては嬉しいですよね。
  • おっしゃる通りですね。もっとも長期空室物件などはオーナーさんが交渉に応じてくれるケースもあるようですから、どこまで詳しく書けるかはケースバイケースだと思います。
  • 「小型犬1匹まで」と限定してしまうと、それ以外のペットは飼育不可のような印象を与えてしまうおそれがあるので難しいってことでしょうか。
  • そういう理由もあると思います。

■敷金の積み増しがあれば表示する

  • 「ペット可」や「ペット相談」の広告トラブルって多いのでしょうか?
  • 「ペット可」や「相談」となっているのに、「実はペット不可物件だった」というトラブルは、最近はほとんど聞きませんね。多いのは敷金積み増しの記載もれです。
  • 通常敷金1月のものが、ペット飼育の場合には2月になるといったケースですね。「ペット可」「ペット相談」とだけ書いて、敷金が増えることを書いてくれないのは困りますよ。
  • 首都圏公取協さんの公取協通信8月号でも措置事例として取り上げられています(公取協通信269号 公正競争規約違反に対する措置等 A社、D社、F社 参照)。
    また、退去時にルームクリーニング費用が必要となる場合もあるようです。この場合にも表記が必要となります。
  • SUUMOでは「敷金積増」の項目欄を設けています。その他の条件については備考欄もご活用ください。
  • 【SUUMO 入稿画面例】
    SUUMO 入稿画面例「敷金積増」

■楽器演奏可能な物件も個別性強い

  • 「楽器相談」はどうなんでしょう?これも楽器の種類によってOKとなる場合とNGとなる場合があるということでしょうか。
  • SUUMOの特徴項目の定義は次のようになっていますね。
楽器相談:居室内での楽器演奏の相談に応じる、または入居可能である
  • 「ペット相談」と違って具体的な楽器名はあげていないんですね。まさかリコーダーやハーモニカがOKなら「楽器相談」にしてもいいってことではないですよね(笑)。
  • さすがにそのくらいでは、「楽器相談」とは言えませんよ。通常はピアノやバイオリンなどの練習をすることを想定しています。
  • では、防音設備がある物件ってことですか?
  • そうとは限りません。中には防音サッシや防音壁を採用している物件もあるのでしょうが、そこまでの設備がなくても「楽器相談」としていることが一般的だと思います。そのため楽器が演奏できるといっても時間が制限されていることが多いようです。
  • 演奏できるけど、10:00~20:00までといったことでしょうか。
  • そうです。またエレキギターなどアンプを使う楽器や打楽器が認められる物件は少ないと思います。
  • 楽器の種類や時間帯によって「利用できる」・「できない」が変わってくるから「相談」という表現になっているというわけですね。
  • なるほど。じゃあ、やっぱりこれもできるだけ具体的に備考欄に表示していただけると有難いですね。

■入居「相談」は、現況空室の場合にのみ使用できる

  • 相談といえば、「入居相談」というのもありますね。
  • SUUMO では入居予定は、「即」「相談」「指定有り」の3つ中から選ぶのか。やはり悩ましいのは「相談」の使い方ですよね。
  • 【SUUMO 入稿画面例】
    SUUMO 入稿画面例「入居相談」
  • 現在入居中の物件を「入居 相談」として掲載できるわけではないんですよね。
  • その通りです。「入居 相談」は、「現在空室だが契約後のリフォーム内容によって入居日が変わってくるので入居可能日を決定できない」といった場合に使います。
  • 現在、空室って…。SUUMOには現在入居中の物件は掲載できないんですか?
  • そんなことはありません。退去日が確定し、かつ新入居者の入居可能日が確定しているのであれば、「入居 指定有り」として掲載することができます。表にまとめてみますね。
  • 入居「即」「相談」「指定有り」の使い分け表
  • なるほど。④のように、新入居者の入居可能日が確定していれば、入居中の物件でも「入居 指定有り」を選んで掲載できるということですね。
  • ⑤なんですけど…。退去日が確定していても、入居可能日が決まっていないものは、掲載できないんですね。
  • えっ、退去日は決まっているけど、入居者が決まらないと入居日を決められない、ということも多いんじゃないですか。
  • 確かにそうでしょう。しかし入居可能日は確定してもらう必要があります。入居可能日すら決まっていないと、入居希望者に極端に遅い入居日を提示して別の物件に誘導する、といった事態も生じないとは言いきれませんので。
  • うーん、ある種のおとり広告になってしまうということですね。
  • そう決めつけるわけにはいきませんが。まぁ、そういう可能性も否定できないので、入居中の物件について掲載する場合は、退去日が確定しているとともに「入居可能日」も決めてもらう、というのがSUUMO のルールです。
  • 話を「相談」に戻すと、「入居 相談」を選択できるのは、表の②、つまり現在空室の物件のみ、ということですね。
  • ⑤のように、現在入居中で、新入居者の入居予定日が決まっていないものは「入居 相談」とはできない、と。
  • その通りです。

■できる限り詳しい情報を

  • 「相談」という言葉は便利ですけど、ユーザーが過剰な期待をすることも考えられそうですね。
  • あいまいな部分を、自分の都合のいいように解釈しがちですものね。
  • おっしゃる通りです。情報の発信側と受け手側(ユーザー)の認識違いというトラブルを防ぐためにも、可能な限り備考欄で詳しい表示をしていただければと思います。それが難しい場合には、「問い合わせに丁寧に対応する」という姿勢がトラブル防止につながると思います。

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