講師と2名の生徒による会話形式で構成しております。
<キャスト紹介>
k: 不動産鑑定士。不動産広告におけるスペシャリストで生徒の質問にも優しく答える
b: 博識な生徒。真面目で疑問はその場で解決しないと気が済まないタイプ
c: 思い込みが激しいが故にミスを犯しやすい生徒。無邪気に素朴な疑問を投げかける
第10回 動画広告ルールの基本を学ぶ
■動画も表示規約の適用を受ける
- b:今回は動画ルールの解説です。
- c:前回の画像に引き続き、今回は動画ですね。そもそも動画って表示規約の適用を受けるんですか?
- k:もちろんです。表示規約の対象となるのは「広告その他の表示」です。「放送、映写」も「口頭による広告表示」も対象になるとされています(表示規約第4条第5項)。
- c:口頭による広告表示???
- k:セールスパーソンの説明に不当表示があった場合には規約違反になる、ということです。
- b:動画に挿入された案内や説明などの音声も規約の適用を受けるということですか?
- k:そうです。優良誤認や有利誤認を招く解説をしたり、合理的な根拠もないのに著しく安いといった印象を与える用語を使うと規約違反になってしまいます。
- b:安易に「絶対にお買い得!」なんて言ってはいけないってことですね。
- k:その通りです。また動画については、規約に加えSUUMOの規定もあるのでそれも守っていただく必要があります。
■物件を紹介する動画を基本にする
- c:なんだかいろいろありそうですねー。
- k:「物件動画」では、「当該物件の内部を紹介する内見動画」を掲載する。これが基本となります。
- c:!?。…当たり前のことだと思うんですけど。
- k:例えば以下のような「物件動画」はSUUMOの規定違反となります。
<違反例> ① 当該物件の紹介ではなく、店舗やキャンペーンの紹介が1/3以上を占めている。 ② (マンションの物件動画で)共用部分しか映っていない。 ③ 写真(静止画)を組み合わせただけのものである。 |
■全体の2/3以上は物件紹介の動画にする
- b:①は動画を見ても物件のことがわからないからダメってことですね。
- k:ユーザーは物件の情報を求めているわけですから。
- c:でも、店舗について詳しく説明したいってこともあるんじゃないですか?
- k:その場合には、『店舗案内企画』に動画を掲載するという方法があります。これならば全体が店舗に関する紹介でも構いません。
- b:「物件動画」では店舗の情報を扱ってはいけない、ということでしょうか?
- k:そんなことはありません。動画の「構成要素の一つ」として店舗の紹介をしていただくのはかまいません。しかし内容のメインは当該物件に関することにしてください、ということです。
- b:具体的な規定はありますか?
- k:まず、動画全体の2/3以上は当該物件の紹介としていただきます。
- c:物件の紹介をメインにするのですから当然ですね。
- k:さらに店舗の紹介については、6秒以内としています。
- b:つまり、こういうこと(図1)ですね。
- c:店舗以外の情報はどうなんでしょう?
- k:といいますと?
- c:たとえばキャンペーンとか、壁紙やフローリングのセレクトプランなんかを紹介するとか…。
- k:それも可能です。しかしその場合も、当該物件の紹介を動画全体の2/3以上にしていただく必要があります。
- b:店舗紹介の場合は6秒以内というルールがありましたけど…。
- k:6秒という制限があるのは店舗紹介のみです。キャンペーンやセレクトプランの紹介であれば、6秒を超えても大丈夫です。
■マンションは専有部分も入れる
- c:②は共用部分のみの動画ですか。入居中で専有部分の動画が撮影できないとかでしょうか?
- k:いろいろな理由が考えられますが、共用部分だけでなく専有部分も撮影していただくことをお願いしています。
- b:未完成物件など物件動画の撮影が不可能な場合はどうすればいいのでしょうか?
- k:その場合は、例外的に設備や周辺環境を撮影した動画のみを掲載していただくことが可能です。ただし完成後は物件の内部を撮影した動画に代えていただく必要があります。
■動画とコマーシャライザー(スライドショー)は違う
- c:③は、動画とは言えないですよね。
- b:「コマーシャライザー(スライドショー)」とよばれるものですね。
- k:そうです。コマーシャライザー(スライドショー)であれば、入稿画面(図2)の「スライドショーとしてSUUMOに掲載」にチェックを入れていただきます。
- b:静止画だけで構成されているものをコマーシャライザー(スライドショー)として扱うのはわかるんですけど、動画と静止画の組み合わせもありますよね?
- c:確かに。組み合わせて作ってもいいんですよね?
- k:もちろん動画と静止画の組み合わせも問題ありません。その場合、動画の方が長いのであれば、「動画」としての掲載が可能です(図3)。
■自社のウェブサイトへの誘導は制限されている
- b:店舗やキャンペーンの紹介が制限されているのなら、会社のURLを載せて自社のウェブサイトに誘導するのはどうなんでしょう?そこで詳細を説明したいと考える業者さんもいると思うんですけど。
- c:よくある「○○で検索!!」とかね。
- k:自社HPへの誘導は今の規定では認めていません。動画上で表示可能なものは「電話番号」「FAX」までです。
■テロップや間取り図を入れることもできる
- b:動画にはテロップや間取り図を入れることもできるんですよね?
- k:はい。写真掲載の場合には加工は原則として認められませんでしたが、動画にテロップを入れることは問題ありません。
- c:テレビなどでもテロップは普通に入りますもんね。
- b:的確なコメントであれば、情報も整理されるのでいいと思います。
- k:ただし、物件紹介の動画部分に店舗情報のテロップを入れるのはダメです。
- c:店舗に関するテロップは、店舗を紹介している動画に入れる、ということですね。
- k:そうです。店舗紹介部分の動画であれば問題ありません。
- k:動画に間取り図を入れることも可能です。ただし画面全体のおおむね1/8以下にすることをお願いしています。
- b:間取り図が大きすぎて、画像が見えないのは本末転倒ですものね。
■ユーザーの期待が高い分、注意も必要になる。
- c:テロップや間取り図も入れられるなんて、写真掲載よりも自由度が高い気がしますね。
- b:逆に動画ならではの注意点というのもあるのでしょうか。
- k:音声による説明や音楽の使用に注意が必要となりますね。
- b:音声?そうか、「口頭による広告表示」も表示規約の対象でしたね。
- c:動画のルールとしては、以上を理解しておけばいいのでしょうか。
- k:画像(写真)同様に著作権や個人情報への配慮も必要となります。
- b:許諾のない人物の顔、車のナンバープレートや表札の映り込みに注意、ということですね。もちろん音楽も勝手には使えませんよね?
- k:その通りです。音楽で使用できるのは以下の3つだと考えておいてください。
① 自社が著作権を持つ音楽(自社のCMソングなど) ② 著作権フリーの音楽 ③ 使用許諾が得られた音楽 |
- c:うーん、いろいろあるなぁ。動画を掲載するのも大変ですね。
- k:情報量が多い分だけ注意するポイントも増える、ということでしょう。
- c:でも、これから動画の利用はもっと増えていくんでしょうね。
- b:今年5月にSUUMOが実施した「2014年度 賃貸契約者に見る部屋探しの実態調査」でも「今後さらに欲しい/あると嬉しい情報」のトップは「実際に物件を内見しているかのような内見動画」となっています。
- c:ユーザーの期待が高いってことですね。
- k:正しい表示をすれば成約率の高い反響が期待できる、ということです。この機会にルールを確認し、動画を積極的に活用していただければと思います。
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