池本編集長の賃貸ゼミな~る

第25回 「2017年のトレンドテーマはリビ充家族」

2017年最初の号になります。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
この時期は、一年のなかでも最も忙しい時期かと思いますが、新しい年のはじまりということで、なにか新しいことに取り組んだり、長期的なスパンで物事を考えるいい時期です。
そこで今回は、2017年に是非知っておいていただきたいトピックスをいくつかご紹介したいと思います。

■「おとり広告」排除の動きが本格化

ここ1、2年、マスコミなどの報道を通じて、不動産仲介においてすでに成約済みあるいは実在しない物件をあたかも存在するように掲載して集客を行う、いわゆる「おとり広告」という手法の存在が、カスタマーも広く認知することになりました。
 ポータルサイト各社でも、以前から「おとり広告」への取り組みを行っていましたが、2016年年末には、ポータル事業者5社が、「不動産の表示に関する公正競争規約に違反し、厳重警告および違約金が課せられた事業者の広告掲載を原則1ヶ月停止する」という措置を取ることが発表されました。
▼ポータルサイト広告適正化部会 規約違反事業者への対応について
http://www.sfkoutori.or.jp/News_r/20161116%20sochitaiou.pdf
▼ポータルサイト広告適正化部会 「不動産事業者情報の共有」について
http://www.sfkoutori.or.jp/News_r/20161201%20jigyousyakyouyu.pdf
 簡単に言えば、SUUMOで悪質なおとり広告を行う事業者は、SUUMOに掲載できなくなると、同時にHOME'Sやat homeにも掲載できなくなる、というものです。この対応が2017年の1月よりスタートします。
 カスタマーにとって、せっかく希望の条件にあった物件を見つけたのに、それが存在しなかったと分かったときの落胆や、その問い合わせなどのプロセスの手間は大きいもの。今回の取り組みで悪意あるおとり広告掲載がなくなり、カスタマーがよりストレスなく住まい探しができるようになると期待されます。ぜひ、この取組みにご理解とご協力をお願いします。

■トレンドテーマ「リビング充実家族」

昨年末にSUUMOは2017年のトレンドテーマとして「リビ充家族(リビング充実家族)」を発表しました。これまで「LDKでは家族で集まって食事や団欒を行い、勉強や趣味などプライベートな時間は個室で」、という過ごし方が当たり前だと思われていましたが、さまざまな事例を取材していくなかで、勉強、仕事、友だちとの電話などプライベートなことも、家族のあつまるリビングスペースで行っている家族が多いことに気づきました。これまで個室で行っていたようなことも、リビングルームで行う。そのためにリビングスペースを充実させて、逆に個のスペースは最小限に、そんな新しい住まい方が「リビ充家族」です。

▼「リビ充家族」のイメージ。家族が自分で好きなことをリビングでする
「リビ充家族」のイメージ。家族が自分で好きなことをリビングでする

「リビ充家族」が増えている背景には「家族での過ごし方の変化」と「都心回帰による居室の広さ制約」があると考えられます。

<家での過ごし方は「リビング中心」>
 分譲マンションの子育てファミリー層に聞いたところ、夫婦ともに家で過ごす時間の7~8割がリビング。そして、そこでの過ごし方が仕事、勉強、メイクなど、これまでだったら書斎や個室、洗面所などで行っていたことであることがわかります。 子どもも、家で過ごす時間のうち、リビング滞在時間の割合は、小学生であれば76.1%、高校・高専生であっても45.6%となっています。

▼子どもの過ごす時間のリビング・個室割合
子どもの過ごす時間のリビング・個室割合

<居住スペースのうち、妥協したくないのは「リビングの広さ」>
 一方、共働き夫婦が増えるなかで、とくに都市部では通勤利便性を重視し、都心回帰の現象が進んでいます。住宅価格の高くなる都心部の物件においては、住戸の広さは妥協ポイントになりますが、そのなかでも居住スペースのうち妥協しても良い箇所がどこかを聞いてみると、「玄関の広さ」「主寝室の広さ」「個室の部屋数」。これらについては比較的に妥協できるという回答が多い一方、「リビングダイニングの広さ」については、68%の人が「妥協したくない」と答えています(下図参照)。
賃貸の新築の際、あるいは間取リフォームの際には「個室ミニマム、リビングマックス」を意識いただくと良いと思います。
居住スペースのうち、妥協したくないのは「リビングの広さ」

■家庭からの二酸化炭素排出量 約40%削減の取り組み「cool choice」

もうひとつ、2017年に耳にすることが増えそうなキーワードが「cool choice(クールチョイス)」です。これは、地球温暖化対策として、低炭素型商品・サービスの拡大を、国を挙げて推進していこうという取り組み。住宅のみならず、家電、自動車、鉄道、サービス業などで、二酸化炭素の削減につながるような選択をしていこうという国民運動で、私もその委員会に入っております。 特に家庭からの二酸化炭素排出量については、約40%の削減が目標となっており、住宅では省エネ住宅、とくに「ZEH(ネットゼロエネルギーハウス)」の認知・推進への取り組みが検討されています。

▼cool choiceのロゴマーク。量販店などでもよく目にするようになりました
cool choiceのロゴマーク
▼cool choiceの情報ページ
https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/
 今まで環境対策というと新築住宅、注文建築が中心に語られていましたが、よく考えたら日本全体のCO2を減らそうと思ったら住宅数が多く省エネに弱い賃貸分野も変えていかなくちゃいけませんよね。ということで昨年から賃貸でも従来の省エネ基準よりも10%もしくは20%以上、CO2排出が少ない住宅に戸あたり30万もしくは60万もの補助金を出す制度もスタートしました。継続される可能性も十分あると思います。

賃貸住宅における省CO2促進モデル事業
▼賃貸住宅における省CO2促進モデル事業の情報ページ
https://www.env.go.jp/guide/budget/h28/h28-gaiyo/020.pdf

■カスタマーの今と未来の暮らし方にあった賃貸住宅へ

2017年の注目トピックスとして「おとり広告対策」「リビング充実家族」「cool choice」をご紹介しました。大きくまとめれば、今、カスタマーが抱えている不満や不利益を解消するための第一歩と、さらに未来の環境を考えた第一歩となる取り組みが本格的に始まる一年となりそうです。

賃貸ビジネスにおいても、目先の利益だけでなく、未来への投資として長期的な取り組みを一緒に考えていけたらと思っております。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

データ出典:マンション購入家族の暮らし方調査(首都圏)/㈱リクルート住まいカンパニー調べ(2016年11月)

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