池本編集長の賃貸ゼミな~る

第22回 賃貸住宅での「ペットと共生」、
ニーズと対策は?

最近、YouTubeやFacebookで、かわいいペットの動画をよく見かけませんか? 私の友だちも、最近ネコを飼いはじめてからというもの、すっかり投稿内容は「ネコ専用」になっています。子どもだけでなく、大人でも「ペットと一緒に暮らしたいなぁ」と思う人は多いと思いますが、住まいによっては、なかなかそれが実現できないケースもあります。では、賃貸住宅で「ペットと共生」できるようにするには、どんな対応をしたらよいのでしょうか?賃貸住宅への住み替え検討者を対象にした、最新の調査結果※から見ていきましょう。

■「ペットを飼いたい」と思っている人は何割?

そもそも、いま賃貸住宅にお住まいの方で、ペットを飼っている人はどのくらいいるのでしょうか?また、ペットを飼いたいと思っている人はどのくらいいるのでしょうか?

【図1】いまペットを飼っていますか?(賃貸住宅入居者)

【図2】今後、ペットを飼いたいですか?(賃貸住宅入居者)

結果を見ると、現在賃貸住宅にお住まいの方のうち、ペットを飼っている人は29%。しかし、今後ペットを飼いたいかと聞いてみると、58%の人がなにかしらのペットを飼いたいと回答しています(現在ペットを飼っている人も含む)。つまり、賃貸住宅に住んでいる人のうち、30%弱の人が「ペットを飼いたいけれど飼えていない」状況にあるようです。

■どんなペットを飼いたい?

では、ペットを飼いたいと回答された人は、どんなペットを飼いたいのでしょうか?
まずは、いまペットを飼っている人が、どんな種類のペットを飼っているのか見てみましょう。

【図3】今飼っているペットの種類は?

結果を見ると、犬(大型犬・小型犬)が38%、ネコが36%という結果に。
「犬VSネコ」の勝負、いま飼っている種類で見ると、犬が勝利をおさめました。

では次に、「今後、飼いたいペット」を見てみましょう。

【図4】今後飼いたいペットの種類は?

飼いたいペットでも、「犬VSネコ」は、犬に軍配が上がりました。タイプ別では、小型犬が1位。小型犬といえば、チワワ、ミニチュア・ダックスフンド、トイプードルなど、ペットショップでも人気ですね。

■「ペット可」賃貸、どんな対策が必要?

ところで、オーナーとして気になるのが、「ペット可」の物件にする際、どんな対策が必要なのか?ということではないでしょうか?そこで、実際にいまペットを飼っている人が挙げる「必要な対策」を見てみましょう。

まずは「小型犬」を飼う人が「小型犬用」に必要と答えた設備はなんでしょうか?

【図5】小型犬を飼っている人が挙げる「小型犬用」必須の対策や設備

支持が高いのは「ペット対応クロス」「ペット対応床材」「防音効果のある壁や窓」「脱臭機」など。
物件にもペットにも優しい床や壁と、ご近所に迷惑がかからないような対策が求められるようです。さらに、犬ならではと言えるのが、「足洗い場」「犬も洗える洗面台」「ペット乗車中の表示付きエレベーター」といった散歩や外出を視野に入れた設備が高めにでている点です。

同じく「ネコ」を飼う人は、どんな設備が「ネコ用」に必要と回答しているのでしょうか。

【図6】ネコを飼っている人が挙げる「ネコ用」必須の対策や設備

全体的な傾向は似ているものの「ペット対応クロス」はネコのほうが高め。また「ペットで傷がつかない床材」も小型犬と比較して高い支持となりました。ネコの場合はクロスを引っ掻いたり、ツメを研いだりするので、対策が必要ということでしょう。その他、「ペットくぐり戸」「ハイポジションコンセント」などは、ネコの動線を考慮すると確かにあったほうが良さそうです。

一方、ペットを飼いたいとは思っていない人の回答も見てみましょう。

【図7】ペットを飼いたいとは思わない人が答える「犬用」必須の対策や設備

【図8】ペットを飼いたいとは思わない人が答える「ネコ用」必須の対策や設備

回答結果を見ると、「防音効果のある壁や窓」以上に高かったのが、「ペットに関するルールの徹底」。ペット可の物件とはいえ、ペットを飼う上でのルールをきちんと設定し、それに沿った飼育が求められると言えそうです。

■ペット対応は、ペットを飼う人も、飼わない人も配慮しよう

GoogleTrendで調べると、「ペット可」というキーワード入力ボリュームは2012年→2016年で2倍に膨らんでいます。今回の調査でみても賃貸居住者のうち、過半数がペットを飼いたいと回答していることから「ペット対応可」は「当たり前」に近いレベルまで達しています。今後は「ペット対応可」の中で「差別化」を図る時代になりそうです。

「後からペット対応」は「飼っている、飼っていない双方が気持ちよく過ごせる」視点のルール設定に取り組む。また最近は新築でも入居率が芳しくないという話を聞きます。入居率が落ちてから空室対策としての「後からペット可」とするのではなく、思い切って新築時から「ペットフレンドリー」を謳って共用部と専有部を専用仕様にする物件がもっとあってもよいかと思います。

ペットも家族も他の入居者も(もちろんオーナーも)満足な賃貸物件が増えたら、ニャンともワンダフル!ですね。

※【調査概要】「賃貸検討者調査2016」全国の賃貸住宅への住み替えを検討している20~69歳の男女1000名を対象に実施。調査期間2016年5月30日~2016年6月24日。調査機関は株式会社マクロミル。リクルート住まいカンパニー調べ

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