第5回 スマートフォンが変える部屋探しのトレンド
皆様こんにちは。2013年いよいよスマートフォンでの家探しが当たり前化してきました。「博報堂DYグループ・スマートデバイス・ビジネスセンター」が5月14日発表した調査によると、スマートフォンの保有率は45.6%となり、前回の2012年11月調査の39.1%から6.5ポイント上昇したそうです。2011年2月の5.3%、2012年2月の28.2%、同年8月の37.3%と急速に拡大が進んでいることがわかります。また、男女別では男性が44.0%、女性46.9%と女性の方が多く、年代別では20~29歳が最多の71.6%。15~19歳の70.4%、30~39歳の54.5%と続き、60歳以上も15.7%と幅広い世代で支持されていることもわかっています。
弊社が毎年4月に実施している賃貸契約者に見る部屋探しの実態調査 (首都圏版)によると、利用した情報源は、「PCサイト」(61.2%)、「不動産会社に直接訪問」(29.5%)が上位項目となりましたが、ともに2011年より大幅に減少。そんな中、「スマートフォンサイト・アプリ」の利用率は2009年0.9%→2010年3.4%→2011年11.8% →2012年18.5%と3年連続大きく伸びる結果となり、「スマホ+タブレット」では19.3%にまで拡大しています(図1)。世帯構成別にみると、【女性社会人】で29.8%と、特にスマホの利用率が高くなっています。
今回は、このスマートフォンの浸透により生まれた3つの現象についてお話したいと思います。
まず1つ目は「訪問店舗数の減少」。先の調査では、訪問した不動産会社店舗数は平均1.7店舗と過去最小の数値になっています(図2)。
2つ目は「契約スピードの短縮化」物件を探し始めてから契約までの期間は平均で22.4日とこちらも調査開始以降で最も短い数値となりました(図3)。
3つ目は、賃貸探しの日常化により、いい物件はすぐに決まるが、今の物件に不満が多ければ、すぐにスイッチされてしまう「賃貸の乗り換え加速」です。
1つ目と2つ目の傾向の背景には、訪問する前にWEBやスマホの検索機能で大枠の絞り込みが果たされているという点が挙げられます。また部屋探しの主役がPCからスマホに移行することによって、スペック(家賃・駅距離・広さなど)と写真の重要性が増しています。PCサイトならば特集があり、絞り込み軸も多彩です。スマホサイトにも詳細設備による絞り込み機能はあるのですが、PCに比べてやや目立ちにくい。「家賃」×「駅距離」×「広さ」の軸での判断要素が高まるのであれば、オーナーに対して家賃の適正化という要素を。そして写真はスマホ化が進むほど“広く明るく撮影すること”が重要度を増してくると考えられます。
また3つ目の話でいくと、「乗り換え防止策」の検討が必要になってきています。もちろんこのための基本戦略は「現在の部屋の満足度」を上げること。そのためには退去時にアンケートを取り、入居者の不満要因・満足要因をきちんと把握し、それが減少するように修繕を行なっていくなどの「不満撲滅策」が必要です。ただもう1つ重要なのは、長期入居者への金銭的メリットを打ち出していくという視点です。例えば車でいえば車検がそれにあたり、コンディションやパフォーマンスを維持するための手段です。これを賃貸に応用して、2年毎に無償で点検・簡易清掃を行う。あるいは航空会社の「早期割引」をヒントにして更新の数ヶ月前に継続を決めていただけたら、リフレッシュ清掃(プロによる水回りの清掃)をプレゼントする といった策も有効かもしれません。
また別の視点で、スマホによる部屋探しの日常化が進むことで、問い合わせに対するレスポンスの速さの重要性も増してきます。例えばPCでは夜に検索して問い合わせしたものに対して24時間後、つまり翌日の夜までに返事をすれば十分合格ラインでしたが、スマホでは、より早い返答が望まれ、それが競争優位、劣位に発展する可能性もあります。
4月に埋まりきらなかった部屋についてはお盆休み~9月がひとつの山になります。ぜひその時期に向けて、家賃の適正化、写真の見直し、そしてより迅速なレスポンスなどを実施されてはいかがでしょうか?
すでにお取引いただいているお客様は、弊社営業担当までご連絡ください。