池本編集長の賃貸ゼミな~る

第4回 永く愛される賃貸住宅を作る
     ~住民コミュニティの形成~

皆様こんにちは。車のメーカーの好決算報告が相次ぐ中、テレビCMは相変わらずソフトバンクを始めとした携帯会社が目立ちますね。各種調査をみるとスマートフォンがついに中高年の世代にも広がって来たようです。SUUMO賃貸の反響でもスマートフォン経由の反響が3割を越えてきました。
 では、このスマートフォンの浸透は、賃貸市場にどんな影響をもたらすのでしょうか?あくまでも私見となりますが、常に携帯するスマートフォンにより、いつでもどこでも気が向いた時に部屋探しをする「賃貸探しの日常化」が進み、いい物件はすぐに決まるが、逆に今の物件に不満が多ければ、すぐにスイッチしてしまう事象が増加していくのではないかと考えています。敷金礼金の減少傾向も相まって携帯の(会社)乗り替えのように「住み替えのライト化」が進む可能性があると見ています。
 ライトに住み替えが進むとその先にあるのは「勝ち組負け組の2極化」です。では勝ち組になるためどうしたらよいか?それには価格競争(家賃競争)に入るのではなく、商品やサービスの差別化を図ることで収益を担保し、かつ入居者の満足度を上げて長く安心して入居して頂く「長期入居型経営」への転換が必要です。それには3つの矢が必要。設備・仕様ランキングやカスタマイズについては触れてきましたので、今回は住民コミュニティについてお話したいと思います。

長期入居が他経営の3つの矢

近所付き合いの希薄な日本人

下のグラフをご覧ください。2010年にリクルート住宅総研(現在の住まい研究所)が調査した世界主要都市における賃貸居住者の実情を調べたものです。本件は「愛ある賃貸住宅」というレポートにもまとまっておりますので、詳しくご覧になりたい方は下記URLからダウンロードしていただければと思います(住まい研究所のHPを進むとURLがあります)。

集合住宅の住民同士の関係

「住民同士が合えば挨拶をする」関係性はあるものの、「おおよそ他の住民とは顔なじみである」に関しては、欧米がは半数以上がYESなのに対し、日本は7%以下。賃貸は孤立化したコミュニティになっていることが伺えます。

住まいに対する愛着度

こちらのグラフを見ていただくと、集合住宅内に親しくしている人数が多いほど愛着が増すという正の相関があることがわかります。

現在の住宅の家賃に対する納得感

さらにこちらのグラフをみると、親しくしている人が多いほど家賃の納得感も増すというデータが出ています。欧米と日本の文化気質の違いも要因でしょう。ただこんなデータもあります。シェアハウスのポータルサイトを運営するひつじ不動産によるとシェアハウスの戸数はこの3年で2倍になったとか。共用空間を作る、イベントによる住民交流の可能性を感じるデータです。住民間の交流を促すことは「差別化」につながるのではないでしょうか?

では具体的な事例を見てみましょう。4月にあるオーナーさんからお誘いをうけてタケノコ掘りイベントに参加しました。元々の入居者とこの3月に新たなにご入居された方も含めほぼすべての方が参加。近くにある竹林からみんなでタケノコを取り、それを入居者のお母さんたちがタケノコご飯や煮物に。BBQセットをオーナーが用意し、共用空間で昼からワイワイ。新しい入居者の方もものの1時間で以前からの入居は者とも意気投合。交流できる共用空間づくりも大切ですが、「場」に加えて「コト」=イベントがあると一気に短時間で良好なコミュニティを形成できそうです。この事例はファミリータイプだからこそという部分はあるかと思いますが、一人暮らし物件でも、ビアガーデン、1周年祭、住民の誕生会、音楽会、映画鑑賞、様々なイベントを開かれているオーナーがいらっしゃいます。
 こういったイベントはオーナーさんが関心を持ち、主体性を持たないと実現は難しいとは思いますが、管理会社から提案・サポートすることは可能と考えます。

入居者イベントの様子

最後に2013年3月に賃貸入居希望者を対象にした調査から1つご紹介します。

ワンルームマンションに希望する共有スペース

こちらはワンルームマンションの1-2室を共用施設化するとしたら、どんな施設を希望するかを聞いたものです。1位はフィットネス施設でした。スポーツジムへ通う手間がかからず、自宅で気軽に利用できる点が支持の要因でしょうか。別の調査でも余暇の時間を運動にあてる人の割合が増えているとか。入居者募集の際のキラーツールにも、入居者満足度向上にも、さらにコミュニティ醸成の基盤にもなりうるかもしれません。

先行する大家さんは通常のマンション・アパートでの共用空間づくりを既に始めています。 住民コニュテイの形成が冒頭で述べた「2極化」の勝ち組に入れる大きなカギになりそうです。ぜひ参考にしていただければ幸いです。

リクルート住まい研究所ホームページ:http://www.jresearch.net/

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