そうだったのか!不動産広告。SUUMO掲載実践編

講師と2名の生徒による会話形式で構成しております。

キャスト紹介
K先生 不動産鑑定士。不動産広告におけるスペシャリスト。大学の不動産学部でも教えている。
Bさん(生徒) 知識も豊富で博識な生徒。真面目で疑問はその場で解決しないと気が済まないこだわり屋さん。
Cさん(生徒) 思い込みが激しくミスを犯しやすい生徒。無邪気に鋭い指摘や疑問を投げかけたりもする。

第19回(最終回) 成約済物件ゼロを目指して


「そうだったのか!不動産広告」も今回が最終回です。2月のオンシーズンということもあり、賃貸業界の最重要課題である「おとり広告」の問題にフォーカスしてお届けします。

■おとり広告は社会問題

  • 昨年はおとり広告の問題が世間でもずいぶん取り上げられましたね。
  • そうですね。この連載でもご紹介してきましたが、改めて昨年の動きを振り返ってみたいと思います。
  • 2016年「おとり広告」に対する報道および対応策のまとめ

■成約済にもいろいろあるが…

  • こうしてみると、TVや新聞でも随分と取り上げられたんですね。
  • 賃貸のおとり物件の問題は、今や社会問題と言ってもいいでしょう。改善されなければ、今年も指摘を受け続けることになると思います。
  • 今や業界をあげておとり撲滅に取り組んでいる、というところでしょうか。
  • うーん、確かにそうなんですが…。
  • 含みのある言い方ですねぇ。何か気になることがあるんですか?
  • もちろん、おとり広告をなくすことに関して反対する業者さんはいません。でも、それで「成約済物件」「申し込み物件」が掲載されなくなるかと言うとそうでもないと思うんです。
  • と言いますと?
  • TVや新聞、ビジネス誌で報道されたのは、「成約済と知りながら広告する」という悪質なケースです。でも「成約済物件」「申し込み物件」が掲載されるのはそういう意図的な場合だけではないですよね。
  • 確かに。忙しくて削除が漏れてしまったり、確認と反映のタイムラグが発生したり。意図的ではなく過失というか・・・。
  • うーん。事情はいろいろあるかもしれないけど、カスタマーの立場に立ったら、広告で見た物件が借りられないことに変わりはないんですよね。
  • そこなんですよね。この問題の難しいところは。

■結果責任が問われている

  • そもそもSUUMOをご利用頂いている業者さんには、故意に成約済物件を掲載するような方はいないでしょう。
  • 掲載停止になってしまいますからね。
  • つまり報道にあるような悪質な業者ではない。そのため「うちは悪質なことはしていないから」と考え、危機感が薄い方もいるように思えてならないのです。
  • 「悪質」かどうかではなく、「借りられない物件が広告されている」という事実が問題視されているのだと。
  • そうです。さらに「他の物件を勧められる」。そこにカスタマーの不満や不信があるわけです。
  • 過失やタイムラグといったケースも含めた解決が求められているということですね。
  • その通りです。「うちは故意に成約済物件を載せるような悪質なことはしていないから、報道されていることは関係ない」「物件数が多いのだから(確認漏れがあっても)仕方がない」という姿勢では、カスタマーの不満や不信は解消されません。
  • 現実問題としては、申し込みがあったことをリアルタイムに把握するのは難しいこともあるのでしょうけど…。
  • 複数の業者さんが客付けしていると、週に1回更新していても、タイムラグで成約済が掲載されることもあり得ますからね。
  • 確かにその通りなんです。でもそれは、業界の論理です。一般社会の受け止め方はそうではありません。
  • 広告した以上、その内容に責任を持ってほしいということですね。
  • ネットでいろいろな情報が手に入り、簡単に購入や契約ができるような時代になった。ところが、賃貸住宅はネットで広告された物件が借りられない。他の業界と比べれば、大きなギャップがあるわけです。
  • 信頼される業界になるためには、ミスやタイムラグも含めた成約済の撲滅が必要ということですね。
  • なかなか厳しいことですが、「結果責任」で考えていかなければいけないのだと思います。

■どうやって防ぐのか

  • 問題はどうやって「成約済物件」「申し込み物件」の掲載を防止するか、ということですよね。
  • そこは以前から言われている、①積極的、能動的に確認する②物件名ではなく部屋番号も含めて確認する③適正な人員を配置する。この徹底に尽きるんじゃないでしょうか。
  • それに加えて、「成約済」であることがわかったら、情報更新日前でも速やかに削除、修正することも大切です。
  • 更新日まで待っているのではなくて、「積極的」にということですね。
  • そうです。「更新期限前なら成約済が掲載していても問題ない」と公取協は考えてはいません。『不動産広告ハンドブック(新訂版)』にも「契約済となった物件については、更新期限が来ていなくても速やかに削除する」、と明記されています。
  • タイムラグの問題にしてもそうですよね。反響は土日に集中することが多いでしょうから、月曜に物件クリーニングすればタイムラグによる成約済物件の掲載もずいぶん減ると思います。
  • なるほど!タイムラグがあるから仕方ない、と諦めるのではなく、少しでも「ゼロ」に近づけるにはどうすればいいかを考えるってことですね。
  • 客付業者さんの努力としては以上なんでしょうが、管理会社さんも成約が入ったら客付け業者さんに連絡を入れるなど、ご協力を頂きたいですよね。
  • その通りです。業界全体として取り組んでいかなければなりません。

■まとめ

  • ずいぶんいろいろな対策が出ましたね。
  • いつでもおさらいできるようにまとめておきましょう!
  • 「成約済物件」を減らすために
  • この連載もこれで最後なんて寂しいですね。
  • いろいろ勉強になりました。ありがとうございます!
  • 私にとっても楽しい時間でした。改めてルールを見直すいい機会にもなりましたし。連載が終了しても、広告ルールの勉強はしっかり続けてくださいね。長い間、お疲れ様でした。
  • 2012年7月からお届けしてきた「そうだったのか!不動産広告」も今回で終了です。賃貸広告のルール解説に絞った連載ですから、10回程度で終了するかと思っていたのですが、皆様のおかげで28回も続けることができました。お礼申し上げます。少しでも、皆様方のお役に立てたのであれば幸いです。長い間、ありがとうございました。2017年2月 中村 喜久夫

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