そうだったのか!不動産広告。

第5回 賃貸広告ルール“基本のキ”

不動産広告にはルールがある

業界の新戦力となった方々にまず知っていただきたいのは、「不動産広告にはルールがある」ということです。 広告だからと言って好き勝手な表示ができるわけではありません。
ルールの基本は、公取協(※1)が定めた表示規約(※2)です。有名な「新築とは、築1年未満の建物で人が住んだことがないものをいう」「徒歩1分は道路距離80m」といったルールも、この表示規約で決められたものです。

広告には「必ず書くべきこと」が決められている

表示規約では、不動産の種別や広告する媒体に応じて「必ず広告に書かなければならないこと」も決めています(必要な表示事項)。例えばSUUMOや自社のホームページで賃貸物件の広告をする場合には、物件の所在地、交通の利便、築年、賃料、管理費・共益費、面積などを表示しなければなりません(※3)。
 広告にこれらの表示がないと、「駅から近くて、賃料も安くて、広くていい物件だなと思って来店したら、実はものすごく古い物件だった…」ということも起こりかねません。しかしそれでは不動産広告が信用されなくてなってしまいますので、必要な表示事項を決めたのです。ちなみに賃貸戸数が1戸の場合の必要な表示事項はこちらをご確認ください。

賃貸借契約に必要となる一時金もわかりやすく表示する

賃貸広告では、一時金の表示も大切です。どういう性格の一時金がいくら必要になるのかを、わかりやすく表示しなければなりません。ここで一時金の性質について確認しておきましょう(図1参照)。


【図1:一時金の性質】
一時金の性質

 まず「礼金」または「権利金」と呼ばれる一時金があります。これは賃料の前払い的な性格を持つ一時金であり、賃貸借契約が終了しても貸主から返還されません。一方、「敷金」または「保証金」と呼ばれる一時金があります。これは、“借主が賃料を支払わない”、“設備を壊した”といった場合に備えて貸主が預かっておく一時金です。そのため、賃料の未払い等がなければ契約終了時に借主に返還されます。

地域によっては敷引という習慣があるところもあります。これは、“預かっていた敷金の一部を返還しない”というものです。例えば「敷金4か月(敷引2か月)」であれば、契約終了時にも2か月分しか返却されません。つまり礼金2か月、敷金2か月と事実上同じことになります。敷引は償却金ということもあります。
 このように同じ性質の一時金でも異なった表現をすることもありますので、ユーザーにわかりやすく伝えることが必要になります。SUUMOでは、敷引・償却金は礼金と同じ欄に表示されます。賃貸借契約が終了しても返還されない一時金ということでまとめて表示しているのです(図2参照)。


【図2:SUUMOでの表記例】
SUUMOでの表記例

契約条件についても表示する

賃貸借契約を締結する際に損害保険に加入することが条件になっている場合には、その旨を表示します。ただし、補償額によって保険料が異なることもありますので、金額の表示までは義務づけられていません。
 さらに、家賃保証会社の利用や、鍵交換費用などの負担がある場合には、その旨記載が必要となります(詳細は、このメルマガの「第3回 意外と多い!?一時金トラブルを回避するには?」をご参照ください)。

礼金、敷金以外の一時金も表示する

一時金とともに賃貸広告において注意すべきは「契約条件の表示」です。法人限定、女性限定といった条件があれば表示します。定期借家(※4)であればそれも表示します。定期借家とは契約の更新が認められない賃貸借契約のことです(※5)。SUUMOの入稿にあたってご注意頂きたいのは、図3のように、「定期借家」欄にチェックを入れ、必要事項を記入する、ということです。


【図3:定期借家物件の入稿方法】
定期借家物件の入稿方法

SUUMOでは、こだわり検索条件として、「定期借家をのぞく」と指定して検索をかけることができるようにしています。しかし、その他備考欄に“定期借家”と入力してしまうと、定期借家であるにも関わらず、検索結果に表示されてしまいますので、必ず指定された欄(図3参照)に入力するようにしてください。

ユーザーの立場に立った広告表示を心がける

掲載している物件情報を更新する、というのも重要です。成約済物件、申込み済物件をいつまでも掲載していると“おとり広告”として扱われてしまいます。キャンペーン賃料や、シェアハウス物件についてもユーザーに分かりやすい表示をしなければなりません。これらのルールについては、このメルマガのバックナンバーも参照してください。
※参照バックナンバー
第1回 キャンペーン賃料の表示にご注意を
第2回 仲間と住むのは楽しいけれど・・・掲載できるの?シェアハウス
第4回 言ったつもり、やったつもりがおとり広告に…)  

表示規約など不動産広告ルールを理解するには、一定の経験や法律知識が必要となります。最初のうちは迷うこともあるかもしれません。でも、そんな時は自分が家を借りる立場に立って考えてみてください。「これは広告に表示しないとユーザーが困るだろうな」。そう思えるものは、”表示が必要な可能性”が高いですので、上司や先輩に相談してみてください。
 きちんとした広告表示を心掛け、実践することが、会社の信頼性を向上させることになります。
 頑張りましょう。

※1:正式名称は不動産公正取引協議会です。
※2:正式には不動産の表示に関する公正競争規約といいます。
※3:正式には不動産の表示に関する公正競争規約といいます。
※4:定期建物賃貸借契約と言うのが正式名称です。
※5:貸主、借主が合意して再契約することはできます。

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