そうだったのか!不動産広告。

第4回 言ったつもり、やったつもりがおとり広告に…

成約済物件の継続掲載はおとり広告になる

「当社は誠実をモットーにしている。おとり広告や不当表示など絶対にしない!」この連載をお読みの皆さんは、そういう方ばかりだと思います。しかし、そのつもりはなくても結果としておとり広告になってしまうこともある…。これがネット広告の怖いところです。みなさんよくご存じのように、成約済物件をいつまで広告していると、おとり広告と判断されてしまいます。

例えば、以下のような原因で成約済物件を広告してしまった例があります。

<原因1>連絡ミスがあった

● 成約済の連絡を受けた営業担当者とHPに広告掲載するネット担当者との連絡が不十分だった。
● HPの担当者が代わり、新担当者がクリーニングを怠っていた。

→忙しいと「言ったつもり…」「やったつもり…」ということも起こりがちです。オンシーズンだからこそ、報告、確認の徹底が必要です。

<原因2>物件を取り違えた

● 似たような物件がたくさんあり、間違えて広告してしまった。
● 管理会社に「○○マンションはまだ空いていますか」と確認したところ「空いている」ということで広告したが、空室は別のフロアの部屋だった(3階の部屋を掲載していたが、空室は賃料が高い5階の部屋だった)。

→物件単位(○○マンションはまだ空いていますか?)ではなく、号室単位(○○マンションの301号室はまだ空いていますか?)での空室確認が必要です。

<原因3>積極的な確認を怠った

● 成約になれば管理会社から連絡が来ていたので、こちらからは積極的に確認しなかった。ところが管理会社の担当変更があり、成約したのに連絡がもらえなかった。
● 新築募集でしばらく空きがあったので、空室確認を怠っていた(どうせ、まだ空いているだろうと思っていた)。
● 煩雑に連絡を入れると怒る家主だったので、 月に1回の確認しかしていなかった。その結果、成約済物件を長期間掲載してしまった。
● 貸主に何度も連絡したが、連絡が取れないまま広告掲載を続けてしまった。その結果、ひと月以上前に成約した物件が掲載され続けていた。

→連絡待ちではなく、積極的、能動的な確認で成約済物件の掲載を防ぎましょう。

4コマ_成約確認を怠ったためにクレームが

申込みが入った物件もおとり広告になる

広告できないのは成約済物件だけではありません。契約段階には至っていない「申込み済の物件」もおとり広告として扱う、というのが公取協の考えです(※)。
 「申込み済の物件」を広告した場合、その広告を見たユーザーが申込みをしても「2番手」になるということです。1番手のユーザーがキャンセルしないとその物件を借りることはできません。つまり「取引の対象とはなりえない物件」となる可能性があるのです。そうである以上、申込みを受けた段階で広告をとめる必要があります。
 ユーザーの立場で考えても、広告を見て問い合わせをしたところ、「既に申込みが入っていて2番手になります。他の物件はどうですか?」と言われれば、その業者に不信感を持つでしょう。申込みが入った時点でその物件はすみやかに広告をとめる必要があります。

挿絵_申込をいただいた時点で広告はSTOPする

責任は広告をした業者にある

ところが、実際は 申込み済物件の広告が掲載され続けていることがあります 。「申込みを受けていてもキャンセルになる可能性もある」「貸主(管理会社)から正式な契約に至るまでは広告を続けてくれてと言われた」といった理由から広告を続けてしまったという話を聞いたことがあります。
 しかし、貸主(管理業者)の意向はどうあれ、取引することができない物件を広告した責任は、広告をした業者が負うことになります(広告主責任)。ユーザーが「おとり広告ではないのか」と公取協に申告した場合、厳しい措置が下される可能性もあります。

こまめな情報更新が信頼を生む

【 申込みが入った】→【広告をとめる】→【キャンセルになった】→【広告を再開する】、という一連の作業を繰り返すことは確かに大変です。物件数が多く、動きが早い賃貸広告においてその業務負荷は大きいと思いますが、その努力は無駄にはならないはずです。ユーザーは、希望する地域の物件の動きをチェックしているからです。
 例えば、同一の物件をX社、Y社、Z社の3社が掲載していたとします。ユーザーがX社に問い合わせたところ、「この物件は昨日成約した」と言われました。数日後SUUMOを見たら、X社とY社は掲載を落としていたのにZ社は掲載を続けていた…。“Z社の情報は古い!”そう判断したユーザーは、 Z社の他の物件に対しても、反響を入れないでしょう。

ただでさえ多忙なオンシーズン。こまめな情報更新の負担は大きいと思いますが、新鮮な情報を提供し続けていることは、ユーザーへの強力な アピールになります。地道な努力で信頼を勝ち取り、業績アップにつなげていただければと思います。


※参考文献:不動産公正取引協議会連合会 公正競争規約研究会著
     「不動産広告の実務と規制 11訂版」 299ページ参照

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