池本編集長の賃貸ゼミな~る

第21回 空室対策、継続入居に効く!!
「必須設備」「差別化設備」「キラー設備」とは?

オンシーズンも終わり、やっと一息・・・。でも「次の商戦期に向けて早めに準備を始めないと!」とお考えの事業者さんも多いのではないでしょうか?そこで今回は、以前同コーナーで紹介した際に各方面からご好評をいただいた「設備ランキング」の最新版についてお話します。2014年4月から2015年3月までに賃貸物件に入居した方を対象に行った『2015年版 賃貸契約者動向調査』※をベースに考察してみたいと思います。

まずは賃貸住宅において、部屋を選ぶ際に「設備」がどの程度重要視されているのかをみてみましょう。下図は「あなたは、住まいを探す際にどのようなことを重視しますか。予定(想定)している『家賃』『広さ』は一定として(変えずに)、下記内容A⇔Bについてどちらを重視しますか」と質問したものです。

部屋の設備VS駅距離・築年数・部屋の向き

結果を見ていただくと、重要な選択項目である「駅距離」、「築年数」、「部屋の向き」との二者択一において、部屋の設備を重視する比率がきわめて高いことがお分かりいただけるかと思います。駅からの距離よりも設備を重視する人がこれだけ多いことは、私にとっては驚きでした。分譲マンションでは設備より、「駅距離」、「部屋の向き」を重視する人が多くみられますので、これは“賃貸ならでは”の結果と言えると思います。

「賃貸物件を選ぶ際に設備は重要だ」という消費者の傾向を理解していただいた上で、いくつかのランキングをみていきましょう。
まずは「満足度」ランキングです。これは以前に、あるいは現在住んでいる賃貸住宅に設置されていた設備の満足度を聞いたものです。「満足度が高い=長く住んでもらえる確率が高まる」という“継続入居に効果的な設備”という観点でみていただければと思います。

現在の物件の設備【満足度】ランキング ベスト15

1位はTVモニター付インターフォン。防犯面、訪問セールスの事前チェックなど複数の効果が見込めるため満足度も高いようです。続いて2位、4位、5位、6位、9位を見てください。これはあるキーワードで括れます。そう『省エネ』『水光熱費削減』です。「家賃が安くても月々の出費となるエネルギー系コストが高くついたら意味がない」という消費者の意識が垣間見られます。部位でみると「窓」「鍵」あたりも“長期入居促進”のアイテム設備といえそうです。世帯別に見てみると、一人暮らしの女性は、セキュリティに関連する設備の満足度がいずれも高く、「安心」が「満足」につながっていることがわかります。

次にご紹介するのは「次に引っ越す時は(も)絶対欲しい」ランキング ベスト15。いわゆる“入居促進に効果的な設備”です。

入居物件決定の際の【必要度】ランキング ベスト15

こちらは利用経験の多いメジャーな設備が上位にランクインしており、頭1つ抜けている上位5つには、エアコン、TVモニター付きインターフォン、都市ガス、追い炊き風呂、温水洗浄便座。6位以下をみてみると、「満足度ランキング」でも上位に入っていた、省エネ系設備に加え、宅配BOXや高速インターネット接続などもランクイン。詳細を見てみると、高速インターネット接続は、一人暮らしの学生の必要度が45%以上と群を抜いており、併せて宅配ボックスの必要度も32%と高いことから、ネット通販を含むネット系設備として支持を得ているようです。

では最後にクロス集計をかけてみましょう。【設置率×次に引っ越すときは(も)欲しい(=入居促進視点)】の指標でみると、A群のエアコン付き、都市ガス、TVモニター付きインターフォン、追い炊き機能付きの風呂、温水洗浄便座は、「設置率が高く、次も欲しい設備」なので『必須設備』となります。また「設置率は20%を切っていますが、次は“絶対”欲しい」が2割を超えているB群にある、無料もしくは安価なインターネット接続、玄関ドアのオートロック、LED照明、遮音性能の高い窓、断熱・遮音性能の高い窓は、『差別化設備』と言えるでしょう。

設置率×次に引っ越すときは(も)欲しい(=入居促進視点)

最後に【設置率×満足度(=継続入居視点)】でみると、A群に入る、エアコン付き、都市ガス、TVモニター付きインターフォン、追い炊き機能付きの風呂、温水洗浄便座、シャワー機能付き洗面化粧台は、設置率が高く、満足度も高いので、『必須設備』と言えるでしょう。B群の浴室乾燥機、ピッキング対策のカギ、保温機能付きの浴槽、宅配BOXは設置率が20-30%なのに満足度が高いので『差別化設備』となります。C群のオートロック、LED照明、遮音性の高い窓、断熱・遮熱性の高い窓、スマートキーは、設置率が20%以下なのに満足度が50%以上と高いので『キラー設備』と言えそうです。

設置率×満足度(=継続入居視点)

いかがでしょうか?
このクロス集計の結果を見ても「水光熱費削減」「セキュリティ」関連が、これからの『キー設備』と言えそうですね。
ただし、これはあくまでも全国版でのデータですので各地域の特性や傾向までは反映しきれていないかもしれません。実際には、「自分の物件周辺ではどうなの?」というミクロな視点での提案が求められることでしょう。その際は「オーナーレポート」をぜひご利用ください。現在のSUUMO上の検索率と設置率が一目でわかる分析シートを活用いただければ幸いです。

アドバイス版レポート(周辺相場・設備)

※データ出典:2014年賃貸契約者に見る部屋探しの実態調査<全国版>
 (調査/リクルート住まいカンパニー 2015年5月)

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