池本編集長の賃貸ゼミな~る

第19回 賃貸業界の外から学ぶ
スマホ時代の決まりやすい広告の作り方

皆様 旧年中は大変お世話になりました。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
 今年も賃貸のオンシーズンがやってきます。大手ポータルサイトには数多くの賃貸物件が並び、また名寄せにより人気物件の集約化なども行われつつあります。今年のオンシーズンは溢れんばかりの物件情報量の中で「どう消費者の目を惹きつけるか」、「どう成約確率を高めていくか」がキモになってきます。
 そこで今回は、他領域から学ぶ広告の工夫について考えてみたいと思います。

まずは「スマホ時代の広告で何に注力すべきか」という視点から。ポータルサイト上でより正確な情報提供をする目的で設立されたRSC(不動産サイト事業者連絡協議会)が行ったサイト利用者アンケートによると、WEBで情報収集する消費者の実に「8割以上」がスマホを使って部屋探しをしているというデータがあります。
 “スマホ化時代に決まる広告の作り方は?”この分野の探求が進んでいる買い取り再販型リノベーション物件における事例を紹介しましょう。今回ご紹介するサイト名は「cowcamo」※。キーワードは「考え抜いたコピー」「疑似体験」です。まずは事例をご覧ください。

情報誌と比べ、またPCと比べても、スマホの弱点は物件の「一覧性」です。画面内情報が少なく、スクロールしながら情報を高速で眺めていきます。よって、メイン写真とコピーの出だしでなんとか手を留めてもらう確率を高め、詳細まで閲覧してもらえるような工夫が必要となります。写真【事例1】をご覧ください。
「小さな庭でブランチを」のコピーにデッキとパラソルの写真。
「世界とつながるワンルーム」のコピーに東京タワーに向かう眺望写真。
この2事例は、詳細を覗いてみたくなるコピーと写真だと思いませんか?

【事例1】
説明図:詳細を覗いてみたくなるコピーと写真

また立地が良い物件については、【事例2】のように敢えて「地名」を全面に出します。ただ赤坂駅から徒歩5分のような「概要見りゃわかるよ」的な表現ではなく「今昔物語」と書くことでカスタマーに「えっ?どういうこと?」という興味喚起を促しています。「目黒、まさかのふい討ち」も同じくです。意外性をつくコピーはその先へと読み進めてもらえるのです。

【事例2】
説明図:「地名」と意外性をつくコピー

でも、こんな声が聞こえてきそうです。
「うちにはそんな気の利いたコピー、気の利いた写真を撮れる社員がいないからムリ」
そのとおり。簡単ではありません。でもだからこそ、そんな社員を獲得、あるいは育成までできれば「持続的競争優位」が築けます。マスコミ志望、芸術、美術系、クリエイティブ系出身者を採用してみてはいかがでしょうか?会社ブランド観点、SEO観点ともに「コンテンツ優位」の時代が到来していますので。

次に「疑似体験」の話です。これは簡単にいえば駅を降りてから物件までのアプローチ順に写真を並べて、その写真に魅力的な解説を加えるパターン(事例3・4)です。

【事例3】
説明図:駅を降りてから物件までのアプローチ

物件の目の前についたら外観、内観と写真は推移していくわけですが、極めつけのおもてなしは疑似物件見学が終わった後に「こんなところでお茶できそう」、「友達が来たらこのレストランでランチしよう」と週末の暮らしを想像できる提案までしてくれることです。

【事例4】
説明図:週末の暮らしを想像できる提案

でもこれもこんな声が聞こえてきそうです。
「売買物件は手数料が大きいから手間をかけられるけど、賃貸の手数料ではここまでやっていられないよ」
そのとおりです。が、全部を自社の社員がやらなくても良いという発想もあるかと・・・。例えばその物件周辺のことは、すでに該当物件に住んでいる方が一番よくわかっているはず。彼らに「ネスカフェ・アンバサダー」ならぬ「物件アンバサダー(大使)」になってもらって、家の周辺の魅力的なお店の写真とお店紹介コピーをお願いするのはどうでしょうか?協力してくれたら“鍵をスマートロックに替えてあげる”などの物件価値が上がる系のインセンティブをつけて。

地域の方々に物件入居を促す応援団になってもらうのもトレンドです。いくつかの新築マンションの販売センターには、販売員ではなく、地域のNPOのママさんが常駐しています。彼女たちはその地域の保育事情、買い物事情に精通しており、本音の話が聞けたり、相談ができたりしますので、導入した物件では接客から成約までの決定率が上昇しています。オンシーズンに地域の子育てママさんたちに、地域応援団としてショットワークで店舗にいて接客をサポートしていただいたり、子育てミニセミナーの講師になってもらってはどうでしょうか?物件紹介だけではない付加価値は大いなる差別化になると思います。

説明図:地域情報相談会

もう一つのキーは「未完成=手を入れる自由」。プロデューサーの秋元康さんはAKBヒットの要因に「未完成」があるといいます。「ヘタであることを、ありのまま見せる」というコンテンツコンセプト。その「進化」のプロセスを追っていくことでファンは「応援者」「育ての親」的感覚で引き込まれていく。
「ほとんどの物件の魅力は「未完成」です。だからあなたの手で「自分の部屋」を作ってください」的なメッセージも有効かと思います。時代はDIY。でも多くの人がDIYに興味はありつつも、自分のセンスとDIY技術に躊躇しているのが現状。だとすれば、事前にセレクトパッケージを用意してみてはいかがでしょうか?選択の幅も広がり、「やってみよう!」というカスタマーも増えるかもしれません。

いかがでしたか?今回ご紹介したお話(事例)はポータル上の広告で対応しやすいものもあれば、自社ホームページでしか実現できないものもあります。そして「面倒くささ」を伴います。でも、だからこそチャレンジする価値があり、そこで成約者を増やせれば、そのノウハウは強い優位性になると思います。

本年もどうぞよろしくお願いします。

※引用元HP  https://cowcamo.jp/ 株式会社ツクルバ

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